挨拶 若杉隆平 新潟県立大学学長

 新潟県立大学は令和元年に創立10 周年を迎えました。設立母体となった県立新潟女子短期大学の設立から56 年になります。本日、花角新潟県知事、文部科学省審議官、国会議員の先生、新潟市長・県議会議員や自治体代表の方々、外国総領事の皆様、大学の学長の先生方、同窓会長、後援会長、各界代表の皆様など、多くのご来賓をお迎えして10周年記念式典を執り行うことができますことは、本学教職員・学生にとりまして誠に大きな慶びとするところであります。

 今日に至るまで新潟における高等教育の一翼を担い続けることができましたのは、新潟県民の皆様,とりわけ設置者である新潟県、議会、教育界、言論界、経済界等の多くの方々の御支援の賜物であり、深く感謝致します。

 本学は、学生一人一人が将来の活躍を支える専門分野の基礎力と共に、幅広い教養を修得することができるように、「国際性」「地域性」「人間性」の基本理念として、リベラル・アーツ教育と専門教育の両立を目指して教育研究に努めて参りました。

 国際地域学部では国際的視野を有する人材の育成に努めて参りました。集中的な英語教育に加えて、日本海を挟んで東アジアに面する新潟の地理的歴史的特徴を踏まえて、ロシア語、中国語、韓国語の教育にも力を注いできました。その上で、東アジアにおける政治・社会・文化への理解を深める重層的な教育を展開してきました。国際性豊かな学生を数多く社会に送り出すことができたのではないかと思います。

 人間生活学部では、幼児教育、社会福祉、健康・食・栄養などの人間の成育に携わる専門家養成を目指した教育を行ってきました。専門知識はもちろんですが、幅広い国際的視野と豊かな人間性を持つ専門人材を地域社会に輩出することができたと思っております。

 また、国際政治・社会・経済分野における高度な教育研究を行うために5 年前に設立された大学院国際地域学研究科においては、国の内外から多様な学生を受け入れ、英語による大学院教育をはじめ、高度専門職業人材の育成に努めております。

 こうした実績を踏まえ、本学では、教育研究をさらに充実し、地域経済の発展を担い、世界経済に活躍できる人材を新潟の地で育成するべく新たな学部の新設に取り組んできました。それが認められ、先月6日、「国際経済学部」の設置につき文部科学大臣の認可を頂くことができました。東アジアをはじめとする国際経済と地域経済を専門に学ぶ他に類を見ない経済系学部として令和2年4月に開学いたします。こうした教育研究の発展は、設置者である新潟県をはじめ、県議会、教育界、言論界、経済界の方々、そして何よりも新潟県民のご支援なくしてはあり得ません。

 国際経済学部では、経済・産業・企業に関する専門力、高いデータ・情報分析力、国際的コミュニケーションを担う語学力の3つを柱として、皆様のご期待に応えられるよう、質の高い教育研究に取り組みます。

 同時に、国際地域学部では専門性を深めるための教育コースの再編成、人間生活学部では国際性豊かな専門家の育成を目指して子ども学科の拡充を行うなど、この10周年を機に、本学は開学以来の大きな改革を行います。

 高度情報化社会の到来により、世界各地域がネットワークで繋がり進化する時代を迎えつつあります。以前にもまして幅広い視野、深い教養、確かな専門力を備える人材が必要となっています。創立10周年を節目として、教育研究における「県大力」をさらに高め、素晴らしい人材が新潟の地から世界に向かって巣立つ拠点となるように、教職員・学生が一体となって努力を続けてまいります。本日ご列席の皆様には、引き続き御指導御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、10周年記念式典のご挨拶とさせていただきます。

令和元年10月25日
新潟県立大学理事長・学長 若杉隆平