後期授業を迎えて

                                               令和3年9月17日
                                        新潟県立大学学長 若杉隆平

9月末に後期オリエンテーションが始まり、いよいよ皆さんは後期授業を迎えます。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年2月以来、1年半余りの期間、何度となく感染の波に見舞われ、その都度、皆さんは、感染防止に最大限の注意を払いながら、なお不安を抱え、また多くの不自由を忍びつつ、懸命に修学に取り組んできました。学友達との語らいや交歓も抑制せざるを得なかったことと思います。本学の教員・職員は挙げて教育の質の維持と感染防止の両立のために、言い表すことが難しいほどの努力を重ねてきました。幸いにも、これまで本学において感染クラスターが見られるようなことはありませんでした。皆さんの忍耐強さと注意深さに改めて敬意を表します。

 この間の対面授業が思うに任せない状況を補うために、本学ではICTを駆使したオンライン授業を積極的に取り入れてきました。これは大学教育における大変革といえるものでしょう。こうした環境変化に皆さんは真摯に対応し、新たな学び方やコミュニケーションの方法を修得し、また、新たな国際交流のあり方を自身の手で開拓することにつなげてきたと思います。これは皆さんにとって収穫と言えるでしょう。ただし、対面授業、学友や教師との触れ合いは依然として重要であることに何ら変わりはありません。こうしたことは何とか回復しなければなりません。

 ワクチン開発という科学の力は、新型コロナウイルス禍にある我々に新たな選択を可能にしてくれます。本学では、新型コロナウイルスから皆さんの健康と命、そして大学での修学の安全を守るために、一日でも早くワクチン接種が可能となるように、7月から大学内でのワクチン職域接種を開始し、希望する全学生・教職員がワクチン接種を受けることの出来る環境を整えてきました。すでに2回のワクチン接種計画が予定通り終了した現在、実に学生の8割以上の皆さんがワクチン接種を受けるに至りました。ワクチンはもちろん万能ではありませんが、新型コロナウイルスの感染から皆さんを防御し、命を守る上で確かな役割を果たすことが示されています。後期の授業開始にあたり、こうした状況は大きな修学環境の変化と捉えられます。

 こうしたことを踏まえ、本学では後期授業を、必要な場合にはオンライン授業とする余地を残しつつ、原則として対面授業とすることと致しました。皆さんは、大学から発表される後期授業カリキュラムを確認頂き、学業への備えをして下さい。久々の大学キャンパス生活、特に1,2年生にとっては実質的に初めてのキャンパス生活に心が弾むと思います。学業に後れを取ってきたのでは、との心配もあったかも知れませんが、対面授業の開始を挽回の弾みとして下さい。

 ただし、ワクチンは防御の有力な手段ではありますが、万能ではないことはすでに申し上げた通りです。対面授業の開始によって、感染防止への備えが緩むようなことがあってはなりません。感染防止に必要とされる基本的な事項は、大学から再度皆さんにお示ししています。ご自身や友人達の健康と命を守り、これから迎える対面授業を安全に継続することが出来るように、ワクチン接種後であっても油断することなく、これまで以上に感染防止に注意を払っていただきたいと思います。

 後期授業が皆さんにとって実り多いものとなることを切に願います。