社会、自分、矛盾、表現、そして故郷

研究紹介・研究室紹介 2026年07月01日

後藤 岩奈 教授

国際地域学部 国際地域学科
専門分野: 中国近現代文学、中国語教育法
担当科目: 中国語ⅠⅡB、中国語表現演習ⅠⅡB、近代中国の社会と文学、現代中国の社会と文学、海外研修(中国語) 言語と地域文(露中韓)

 私は幼少のころより山水画を見るのが好きでした。小学生のころに世界地図の中国の地名が日本の漢字の音読みに似ていることに関心を持ち、中学生のころNHK大河ドラマ「花神」で、高杉晋作が中国人と漢字で筆談している場面に興味を持ちました。今思えば、父の実家がある大分県竹田市がまるで山水画の世界のようであったせいかもしれません。
 中学3年からラジオの中国語講座を聞き始め、大学で中国語を専攻しましたが、学生時代にはサークル活動や学生自治活動を通じて、人が生きていく上での「個人の生の尊厳」の大切さ、自己の「主体性とその燃焼」を注視、重視する考えを持ちました。
 専門に関しては、文学作品を通して中国の歴史や社会、人々の生活や生きる姿を見てゆこうと考えました。より「現在・同時代」に近い「近現代」の文学です。各時期の中国社会が文学作品にどう反映され、また文学作品が時代、社会にどういう影響を与えたのか、むしろ「歴史」「思想史」に近いと思います。講義でもそのようにやっています。
 その中でも特に文芸理論家で詩人の胡風について調べています。魯迅の弟子ともいわれる胡風の文芸創作論は、作家の「主観の燃焼、自我拡張」を重視しており、1954年に、当時の中国政府の文芸政策と異なる文芸論を提起して逮捕され、25年間政治犯とされた人物です(1979年に名誉回復)。この胡風の文芸思想、魯迅からの影響、胡風が指導した作家たちの作品などについて調べています。
 また私は「故郷・郷土」についてのこだわりがあり、短篇「故郷」を著した魯迅魯迅が高く評価した新潟出身の画家で詩人の蕗谷虹児とのつながり、新潟とも関係のある黒龍江省出身で晩年の魯迅と親交の深かった蕭紅も見ています。さらに、私は幼少期を九州の熊本で過ごしたため、熊本と新潟の水俣病問題について文学の立場から関わっていくことを考えています。学生諸君には、中国語を学習して、実際に中国の人々や中国社会に多く接して欲しいと思います。