データと理論が教えてくれる『金融の仕組み』

研究紹介・研究室紹介 2026年07月01日

蔡 越 講師

国際経済学部 国際経済学科
専門分野: 金融経済学
担当科目: 国際金融Ⅰ、国際金融Ⅱ、Global Financial Market、日本経済入門、入門演習Ⅰ、入門演習Ⅱ、専門演習Ⅰ、専門演習Ⅱ

 私たちの生活を支える「お金」は、世界でどのように動き、社会を形作っているのでしょうか。私の専門は経済学とファイナンスです。特に日本と中国の市場データを比較・分析し、金融機関や投資家の行動の裏にある「なぜ?」を実証的に解き明かしています。私の研究は、大きく2つのテーマに分けられます。
 第一は、中国の投資信託市場に関する研究です。急激にキャッシュレス化が進む中国では、スマホ決済と連動した巨大な投資信託が普及しました。しかし、似た金融サービスが乱立し競争が激しいにもかかわらず、なぜ高い手数料が維持されているのでしょうか。データを分析すると、投資家がプロの「単なる運」を「真の実力」だと勘違いしてしまうという、人間の心理と市場の歪みが見えてきました。
 第二は、日本の金融市場の裏側に関する研究です。企業が初めて株を売り出す(IPO)際、その「値段」は誰がどう決めているのでしょうか。実はそこには、証券会社や銀行だけが知る「表に出ない企業の評価(定性情報)」が深く関わっています。私は、この見えない情報が価格にどう反映され、そこに談合のような偏った市場の構造がないかをデータから検証しています。
 経済学は、単なる暗記科目ではありません。データと理論を羅針盤として、国境を越えて複雑に絡み合う社会の仕組みを解き明かす、非常に奥深く魅力的な 学問です。この知的な冒険の世界へ、皆さんもぜひ足を踏み入れてみてください。