平成30年5月

平成30年5月

本学が4年制大学として開学して10年目を迎えました。開学以来の教育研究を振り返り、将来の在るべき方向について全学を挙げて検討を進めてまいりましたが、その結果が『新学部創設等基本構想』としてまとまり、4月20日に公表いたしました。本学の教育研究について「経済・産業・企業を理解・分析する専門能力、情報・データを分析する力、英語や露中韓言語に関する確かな語学力を有し、グローバルなネットワークの中で発展する国際経済・地域経済を支え、貢献する人材を育成することが本学に求められている。そのための教育研究組織として国際経済学部(仮称、以下「新学部」)を新設し、新潟県における高等教育の一層の充実に取り組むべき」と方向付けるものです。東アジアをはじめとする国際経済とのネットワークの中で伸びる経済・産業・企業をグローバルな視点から学べる教育機能の充実・発展と言い換えることが出来ます。

本学の教育研究の今後の在り方については、2年前から全学的な組織を立ち上げて検討してまいりました。この間、新潟県内教育界、経済界をはじめ各界各層から御意見をいただきながら学内での審議を深め、「中間まとめ」といたしました。それをもとに設置者の新潟県と密接な協議を重ねてまいりました。関係機関との一連の協議を経て基本構想の内容が概ね固まった段階で、新潟県に設置された「新潟県立大学新学部設置に関する有識者会議」に本学の取組をお諮りし、基本的方向付けとなる報告書をいただきました。この報告書に沿って新学部創設について更なる検討を加え、その内容を新潟県議会において御審議いただきました。そして2020年4月の新学部開設に向けての準備経費及び施設整備費が2018年度予算案として計上され、本年3月の県議会において承認が得られました。4月に公表した『新学部創設等基本構想』は、そうした長期にわたる検討と県・議会の審議を経てきたものであり、新学部開設を進める上での基礎となるものです。本文概要を本学ホームページに掲載しておりますので御参照ください。

本学では「国際性の涵養」「地域性の重視」「人間性の涵養」を基本理念として、永年にわたり地域に貢献する数多くの人材を輩出してきたところですが、人口減少が深刻化し、地域の活性化が重要課題となっている新潟県において、地域の発展に貢献する有為な人材を新潟の地で育成することは、県の高等教育機関である本学に課された重要な使命です。特に経済社会がグローバル化する今日、日本海を挟んで東アジアに面する新潟には、東アジア経済圏とのネットワークを深め、発展していくことが期待されており、その実現のためには国際的な視野を持って新潟の経済・産業・企業の発展を担う力を備えた人材の育成がますます重要となっています。こうした地域の教育ニーズに適切に応え、県民から選ばれ、地域の発展に貢献する大学であり続けるためには、東アジアをはじめとする国際経済社会で活躍できる力、東アジアとのネットワークの中で地域経済の創生・発展を担える力を身につけるプロフェッショナルを育成することが強く求められていると感じます。

新しく開設を予定している学部は、最新の国際経済・地域経済を学ぶことのできる傑出した教育の場を目指します。「充実した教授陣による国際経済・地域経済創生の両コースでの体系的な学び」、「少人数のゼミナール・英語による専門教育を組み合わせた密度の濃い国際水準の学び」、「各学生の卒後進路を見据え、国内海外研修を組み合わせた実践的な学び」ができるハイレベルの教育研究拠点を実現したいと思います。

本学は常に多様な人材が育つ場でありたいと思いますが、新学部では「最新の経済・産業・企業を理解・分析する専門能力」「データ・情報を実践的に分析する力」「国際的なコミュニケーションを担える確かな語学力」を身につけ、グローバル化する国際経済、世界とつながる地域経済を舞台に活躍できる人材が育つことを目標の一つとします。

新学部、国際地域学部、人間生活学部が一体となって、豊かな自然に恵まれ、多様性のある食文化を誇る新潟の地で、新潟県内はもとより国内外から集まる若者に対してハイレベルの教育を提供できるよう、全学を挙げて教育内容の充実に取り組んでいます。

2018年5月
新潟県立大学学長 若杉隆平