インフルエンザ
聞き飽きるほどの「猛暑日」や「経験のない…」がようやく終わったかと思っていましたが、そんな9月末にはインフルエンザが順次、関西そして関東と広がって、ついに全国的な「流行期」に入りました。
新型コロナのパンデミック以来、季節性に流行していた感染症の動向は、とにかく「読み」が難しくなりました。実際、ここ数年の外来診療でも、新型コロナやインフルエンザの抗原検査については、季節に関係なく実施せざるを得ない状況になってきています。
2019年度までのインフルエンザは、概ね11月から3月に流行していました。しかし、新型コロナのパンデミック中、2020年度と2021年度にはインフルエンザの流行がありませんでした。様々な行動制限や渡航制限、マスクの着用により、インフルエンザウイルスの伝搬も大きく抑え込まれ、一時的に沈静化していた可能性があります。
ところが、新型コロナ対策が緩和されると、インフルエンザにも再興に伴う流行が見られるようになりました。ただ、そのパターンは従来とは大きく変わり、2022年度は1-3月に流行、次いで2023年度は春先からダラダラと流行が続いた後の8-3月に2峰性(11月と2月のピーク)の大流行が発生しました。そして、昨シーズン(2024年度)は11-3月の1峰性で大流行…おそらくは、急激に国家間往来が増加し、一方で新型コロナのパンデミック時に、インフルエンザの抗体保有率が低下したため、それまでの流行パターンが崩れたのではないかと推察しています。
そんなインフルエンザですが、新型コロナと同様、栄養や休養に配慮し人混みを避け、マスク、手洗い、手指消毒などの基本的な感染予防対策が大切なのはもちろんですが、加えてワクチン接種が原則として生後6か月以上の全員に推奨されています(卵アレルギーがあっても原則として接種は可能です)。また、従来の不活化ワクチン(皮下注射)に加え、2024年からは2-18歳について、経鼻弱毒生ワクチンという選択肢も加わりました。ただ、この生ワクチンは、妊婦や免疫抑制状態では使用できませんし、併用薬を含め注意すべき点がいろいろありますので、必ず医療機関でそれらを確認して接種してほしいと思います。なお、不活化ワクチンについては、インフルエンザによる受診や入院について、各々概ね30-50%程度減らすことができる効果があると報告されています。
本学でも、2025年11月25日に不活化ワクチンによるインフルエンザ予防接種を予定しています。もちろん、ご自分のかかりつけや近所の医療機関でも構いませんので、インフルエンザ感染予防の一環として、ワクチン接種を検討していただければと思います。
(令和7年10月17日、センター長:田中純太)