新潟から世界へ:紛争解決の理論と実践の架け橋

研究紹介・研究室紹介 2025年06月27日

中束 友幸 助教

国際地域学部 国際地域学科
専門分野: 国際仲介研究、紛争研究、平和研究
担当科目: 国際政治学、平和研究、国際地域研究入門、Interactive Studies: Issues in International Politics、国際地域学研究基礎(大学院)、Peace Research(大学院)など

 大学では国際関係について勉強したいと思い、入学したのが新潟県立 大学でした(ちなみに1期生です)。国際政治学や平和研究の授業を受け る中で、実際に戦場を見てみたいと思い、長期休みにポーランドのアウシュ ビッツ、カンボジアのキリング·フィールド、ボスニアのスレブレニッツァ など約30カ国を旅しました。大学院生の時には、スーダンやパレスチナ にも足を運び、現在では50カ国以上を訪れています。
 大学院はスウェーデンのウプサラ大学に進学しました。ウプサラ大学 は平和紛争研究で有名で、特にウプサラ紛争データプログラム(UCDP: Uppsala Conflict Data Program)は、1946年以降の世界中の武力紛争に ついてのデータを収集しており、誰でも無料でデータにアクセスできます(ウェ ブサイト:https://ucdp.uu.se)。
 そして、2024年に母校である新潟県立大学に教員として戻り、和平交 渉の仲介に関心を持って研究しています。国家間紛争や内戦が起きると、 国際社会は武力介入、平和維持、仲介、仲裁裁判、制裁など様々な外交 手段によって紛争に対処しようとします。これらの手段は、どの程度、 あるいはどのような時効果的なのでしょうか?その中でも仲介は最も多く使われてきた外交手段ですが、どのような課題があるのでしょうか?
 仲介が抱える課題の一つに「仲介のジレンマ」があります。仲介を試 みなければ、紛争は継続· 激化する可能性があります。しかし、仲介は紛 争を早期に終結させる効果がある一方で、仲介による合意は短期的にし か継続せず、紛争は再発しやすくなるという問題です。
 UCDP によると、残念ながら現在、武力紛争の発生件数は1946年以 降で最悪のペースです。紛争解決の理論と実践を架け橋とし、国際社会 の課題に対処することは喫緊の課題です。これらの問題を学生と共に考 えていきたいと思います。