日本における農業法人の経営行動と生産性の分析:米中との比較を通じて

主査 董 琪 准教授
共同研究者 ウィル マーティン(国際食糧政策研究所)、山田 七絵(アジア経済研究所新領域研究センター)、新井 洋史(新潟県立大学北東アジア研究所教授)
研究期間 2023年度-2025年度

研究概要

日本の農業生産では、少子高齢化による農業従事者の減少が深刻な問題となっている。農林業センサスによれば、2020年まで日本の総農家数は1976年の489万戸から174万戸に減少し、農業従事者の平均年齢は62.3歳に達している。また、国内消費市場の縮小に伴い、日本の農業総産出額は1990年代以降減少を続け、2010年代半ばに、ようやくボトムアウトした。これらの問題に取り組み、日本の農業を活性化するため、政府は農業法人を積極的に育成・支援している。日本の農業法人の総数は2005年の1.4万から2021年の3.2万に達した。このような状況を踏まえ、農家法人の経営行動と生産性を分析することは大きな意義がある。本事業は、日本の農業法人を対象として、以下の4つの課題を分析する。①農業法人と伝統的な農家経営のそれぞれの特性を考察しながら、両者の農業生産の生産性を比較することによって、農業法人の比較生産効率を計測・評価する。②原材料市場と農産物市場について、伝統的な農家に対する農業法人の相対的な市場競争力を計測・評価する。③日本の農産品の輸出促進戦略に基づく様々な支援策と食料・生産要素の価格高騰の状況を考慮に入れつつ、日本の代表的な農業地域の一つである新潟県を事例として農業法人の輸出競争力を考察する。④日米中の農業法人の比較分析しながら、農家経営と農業法人経営について一般的な結論を求める。