ブックタイトル平成29年度公開講座記録集

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平成29年度公開講座記録集

平成29年度 新潟県立大学 公開講座 地域を守る。家族を守る。?いざという時のために?第1回公開講座災害復興と地域づくり?大震災からの経験と教訓?第1回企画者 関谷 浩史【第1回公開講座企画趣旨】2017年11月12日(日曜日)の13時から、コープシティ花園ガレッソホールにて、平成29年度新潟県立大学公開講座『地域を守る。家族を守る。~いざという時のために~』の第1 回が開催されました。初回は「災害と地域」をメインテーマとし、中越大震災の復旧復興を担当した元県庁職員の渡辺斉氏をお招きし、『災害復興と地域づくり~大震災からの経験と教訓~』という題目でご講演いただきました。県内では、旧山古志村や旧川口町など中越地域に甚大な被害をもたらした中越大震災から早くも13年が経過し、今やその凄惨な記憶も風化されつつあります。その一方で、東北では巨大地震と大津波が発生し、福島第一原発で発生したメルトダウンは、世界を放射能の脅威にさらすことで、災害に対する国民意識を一変させました。東日本大震災から6 年たった現在、被災地ではいまだ多くの罹災者が避難生活を余儀なくされていて、復旧が進む道路や施設などのインフラ整備に比して、仮設住宅に暮らす人々の生活復興は遅々として進まず、国や自治体が主導する復興政策の限界を露呈させています。よって、第1 回公開講座では、いつ遭遇するか予測ができない災害への対処を目的に、中越大震災の復興プロセスを敷衍することで、市民に求められる災害への備え、有事の際の復旧復興への教訓、持続可能な地域再生をうみだす社会システムの在り方を学ぶことで、災害に強いまちづくりについて考える場をご提供したいと思います。【講座を終えてからの所見など】渡辺氏の講演は、現場の最前線で陣頭指揮をとった者が味わう、切迫感に満ちた被災地の報告からはじまりました。阪神淡路大震災を想起させる寸断された道路網、一階部分が倒壊した原型を留めていない家屋、瓦礫の中から必死に人命を救助するレスキュー隊の姿などは、我々のさびついた記憶を一瞬にして覚醒させる緊張感を放っておりました。大規模な余震が続く豪雪地域での復旧作業は、積雪がひどくなるまでが勝負で、迅速な仮設住宅の建設が求められました。震災発生翌日(10月23日)から建設候補地の調査選定、住戸プランや配置設計、建築にむけたプレハブ建築協会との協議をはじめ、被災した13市町村64団地で3460戸の仮設住宅建設が12月15日には全て完成し、12月22日に全ての避難所が閉鎖する短期間での復旧を実現させました。このミッション達成の背景には、阪神淡路大震災の教訓が活かされたと渡辺氏は振り返ります。仮設住宅の供給条件には、生活に必要な空間を提供する以上に、住み慣れた場所に近い場所を選定する(環境を大きく変えない)配慮や、一定バランスでのコミュニティスペース(集会所や談話室)の配置がより重要な条件になる事実を知りました。そしてこの講演会を通じ、過去の教訓を国民間で共有し、起こり得る未来のリスクに想像力を働かせる(当事者意識)大事さを学ばせていただきました。University of NIIGATA PREFECTURE 2