ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めて「映画『風の波紋』に鼓動する新しい「結ゆい」の魅力を語り合う―小林茂監督を囲んで―」の原点福本 圭介今年度の地域連携センターの公開講座(全2 回)のテーマは、「新しいつながりのかたちを求めて」でした。このテーマは、第1 回公開講座において上映した映画『風の波紋』から生まれました。テーマがあって、この作品が選ばれたのではなく、むしろこの作品が今年度の全体テーマを生み出し、この第1 回企画を生み出したのです。『風の波紋』は、新潟の豪雪地帯、越後妻有を舞台に、そこに生きる人々のくらしをユーモアと愛情たっぷりに描いているドキュメンタリー作品です。監督は、映画『阿賀に生きる』(1992年公開)の撮影を務め、数々の作品を手掛けた新潟が誇るドキュメンタリー作家・小林茂監督。2016年の春、私が初めてこの映画を劇場で見た時、映画のエンドロールを見つめながら、自分の頬に涙がつたっているのに気がつきました。でも、なぜ涙が流れているのかは、すぐには意識化できませんでした。優れたアートは、人間の心の奥の深いところを刺激し、ゆさぶります。そして、その人間が普段生きている中で感じ取っていながら意識化できていない部分をしっかり肯定してくれます。この映画には、私にとって根本的に大事なものが描かれていると思いました。そして、それはおそらく今を生きる人間にとって根本的に大事なものではないかと思いました。私は、新潟が生み出したこの素晴らしい映画を、ぜひ若い人たち、学生の皆さんに見てほしいと思いました。そして、彼ら彼女らは、この映画をどう受け止めるだろうかという興味もありました。そんなときに、この公開講座の企画が始まったのです。私は、チャンスだと思いました。ぜひ、小林茂監督をお招きし、この映画の上映会を大学で開催したい。そして、地域の方々をお招きし、同じ地域に暮らすもの同士、世代を超えてこの映画の中心的なテーマについてじっくり語り合いたい。そんなふうに夢見つつ、この企画は構想されていきました。この映画のパンフレットの中にあった「結(ゆい)」という言葉がヒントになり、公開講座の全体テーマも「新しいつながりのかたちを求めて」に決まりました。地域の方々や学生たちと一緒に、あらためて人の「つながり」を考えたい、つくっていきたいと思ったのです。さて、実際にこの企画は、2016年11 月20日、第1回公開講座として実現されました。当日はまず、映画『風の波紋』の上映が行われ、それに引き続いて小林監督を囲んだトークセッションが行われました。本学からも3 名の学生たちが参加し、映画に対する感想を語ってくれました。そのやりとりの全体をここに採録するので、ぜひ、じっくり読んでもらいたいです。『風の波紋』の根底に流れている誠実なものだけがもつ本当の力は、若い人たちの心の中にも波紋をつくっていったようです。不思議なことですが、『風の波紋』は水面をはねる石のようにどんどん波紋を生み出しながらも、同時に見るものそれぞれの「原点」をも映し出していくような気がします。今回の公開講座が、参加してくださった方々がそれぞれの「原点」を見つめ返す小さなきっかけとなってくれたとすれば、これに勝る喜びはありません。当日は、学生、地域の方を合わせて42名の方がご参加くださいました。心からお礼を申し上げます。University of NIIGATA PREFECTURE 2