ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

第2回 里親と子どもがつくる家族のかたちす。新しい子が入ってくると、大体半年は全員が落ち着かなくなって、自分の居場所がシャッフルになるみたいな感じになりますが、今のメンバーは2 年ぐらい変わらないので、非常にいい感じです。洗面所を独占しないでほしいとか、部屋の音楽がうるさいとか、いろんなことをご飯のときに軽く言い合えるような感じになっています。あまりにもご飯のときににぎやかで、虐待の様子までみんな自慢し合う。「フライパンが飛んだ」とか。ちょっと食事にはふさわしくないのですが、安心できた証拠かなとか思います。でもやはり、虐待を受けた子は自己肯定感がすごく低くて、我が家に来たときは本当にしょんぼりして、小学校の子も、「生まれてこなければ良かったんかな」とか言ったり、「消えてしまいたい」とか、「殺してくれ」みたいなこと言う子もいます。他にも、落ち着きがなかったりとか、注意が続かなかったり、先ほどの解離という話がありましたが、「黒ずきんをかぶった男が小学校のげた箱に待っているんだ」とか、「首のないサラリーマンが学校の帰りに待ち伏せしている」とか、いろんなのが見えたりする子もいて。他にも、体がとても小さくて、低身長というか他の学年の子どもさんの頭二つ分ぐらい小さくて、ご飯もほとんど食べなくて。本人が気にしていたので、低身長の治療を受けて、毎晩成長ホルモンの注射を打って、今は他の学年の子と変わらない身長になりましたが、相変わらず夜は電気をつけていないと寝られなくて。そして、ベッドの周りには、ぬいぐるみがずらりと並んでいるという男の子もいます。●家庭養育のよさ里親とかファミリーホームの家庭の良さは、何と言っても、施設とは違って、同じ大人がいつもそばにいるということ。ご飯をみんなで食べて、話をして、そういう普通の生活の繰り返しの積み重ねが、やっぱり安心や安全とか、かわいがられていることを伝えることができることだと思います。シンプルな生活の積み重ねが、人としての基盤を作るんだなというふうに思って育てています。特に乳幼児は、愛着関係が育つ大切な時期なので、本当に里親推進を児童相談所にはお願いしたいです。併せて、里親への細かいケアもお願いしたいところです。他に、貧困とも関係するかもしれませんが、子どもたちは圧倒的に体験の不足が目立ちます。ブランコに乗れない子、自転車に乗れない子、エスカレーターに乗るタイミングがちょっとつかめなくて、すごく練習したりとか。海水浴に行ったことがない、まつりも行ったことがない、デパートにも行ったことがないなど。県外にもちろん行ったことがない。本当に、我が家に来て、これ初めてだみたいなことを言うことがすごく多かったりします。食事も、これ初めて食べたというのがすごく多いです。家族という単位は、施設に比べると自由度が非常に高いので、思ったときに子どもたちを連れて、私が親にしてもらったようなことをしてあげられるので、そういうのが利点だと思います。子どもたちが家庭を持ったときに、親になったときに、子どもにしてあげられるようにと思いながら、一つずつクリアをさせるというか、一緒にしているところです。子ども同士、多人数養育の良さとしては、上の子が下の子をちょっと気遣ったりとか、下の子は上の子をモデルにできること。退所した子が遊びにくるのを見て、いつ来てもいいんだなと思ってくれたりとか、そういうのもあります。夫婦の様子を身近に見れることもまた、利点だと思います。熱があってもお父さんネクタイして会社行ったなとか、夫婦が仲良くしているのがよいモデルになると思い、私たちも心がけています。うちの主人は怒ったことがあまりないので、子どもたちは、大好きで、私に比べると財布のひももゆるいので、私に言わないですぐお父さんの所に行って、なにかいろんなもの買ってもらってにこにこして帰ってきたりします。●今後の抱負子どもたちには特に強制してませんが、みんなお父さん、お母さんと呼んでくれます。児童相談所の委託ということで家に来てくれましたが、大事な縁を大切にして、これからもいい伴走者になれるように頑張りたいと思います。いつでもお帰りと言えるように、子どもたちがせめて結婚するまで生きていたいし、主人と健康に暮らしたい。あと10年はファミリーホームを続けたいと思っています。また、地域の中での家庭、ファミリーホーム、里親でありますので、地域の皆さんと本当に仲良くさせてもらいたいです。地域のサッカークラブに小学生の頃入っていた男の子がいて、車出しとか、毎週末の試合の29 University of NIIGATA PREFECTURE