ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めてせてもらいたいと思います。●ファミリーホームを始めたきっかけ私がファミリーホームを始めたきっかけですが、私は、短大の幼児教育科を卒業し保育士として、新潟県の職員に採用されました。知的障害児者の施設と児童相談所の一時保護所、それから児童養護施設に合計14年、他に、県庁の児童家庭課に3 年勤務しました。仕事を続けたかったのですが、私の娘が病気になりまして退職しました。しばらくは、主婦をしておりました。娘も手術をして、いったん病気も安定して、元気に学校に行っていましたが、遠足の翌々日に急に病気になって11歳で亡くなりました。しばらく何もする気がおきませんでしたが、周りの方が働いたほうがいいよと心配してくれて、作業所のバイトとか持ってきてくれまして、そんなふうに少しずつ仕事をやりながら、ファミリーホームの制度ができるというのを知って、もう一回前を向いて頑張ろう、子育てをもう一回したいと思い、ファミリーホームを平成22年に開設しました。主人は普通のサラリーマンですが、週末はラグビースクールのコーチをしていて、子ども好きだったこともありますし、私の最大の理解者なので、一緒にやってくれると快諾してくれました。主人の協力がすごく大きかったと思います。施設勤務は、すごくやりがいがあって、大好きで辞めるつもりは、ありませんでした。今、施設から家庭養護に移行させる流れになっていますが、やはり施設で対応したほうがいい子も現実には存在します。非常に対応の難しい、傷の深い子は施設のほうがいいこともあります。ですので、車の両輪のように、施設と里親が連携して子どもを養育するのがいいのではないかなと思います。●これまでに苦労したこと開設時、苦労したことですが、始めたばかりの頃、ちょっと困ったことがありました。我が家の校区の小学校に、新しく来た男の子を転校させてくださいとお願いに行きましたが、転校の受け入れを当初断られることがありました。私どもがファミリーホームを開設するときの周知がなかったというのが、そもそもの原因なのですが。「家で暮らせないというのは、一体どういう子なんだ」とか。「周りへの影響が心配」とか。他に、「虐待をした親が小学校に押しかけてきたらどうするんですか」とか、いろいろな不安の声が聞かれました。小学校が、地域の民生児童委員さんにも声掛けて、ちょっと反対運動に発展しそうな動きがありましたが、そのときに、市役所の担当課と児童相談所の皆さんが先頭に立って、その話し合いの場で社会的養護の必要性を訴えてくださったおかげで、その後はちょっと遅れましたけれども小学校に転校できることができました。私のほうも周知が足りなかったことを深く反省をしつつ、小学校とも連絡を密に取り合って、その後はよい関係を結ぶことができました。どんな状況であっても、子どもにとっては、やはり子ども同士、唯一子どもらしくいられる学校はとても大切で、こちらも丁寧な準備や対応が必要だったなと思いました。あと、里親とは違うとは言っても、ファミリーホームは施設的なイメージを周りに持たれていることもあり、もっと周知したほうがいいとも思いましたが。虐待の子どもたちは、親御さんにも住所は伏せてうちに暮らしてるので、地域で地味に生活したいということもあって、なかなかその辺が難しいところで、今も表札も挙げていない状況です。●ファミリーホームの子どもたち我が家の子どもたちですが、今までに5 人の子どもの委託を受けて養育してきました。1 人は就職をして自立し、時々彼氏と一緒に、ご飯を食べに遊びに来てくれます。他には、一時保護の赤ちゃんが、年に何人か来ています。乳児院の入所待機とか、里親さんの田植えなど、短期の一時保護をしています。現在、我が家で暮らしているのは、高校3 年の女子と高校1 年の男子、中2 の女子、中1 の女の子の4 人です。うち1 人は自閉症の障害があるので特別支援学級に通っています。全員が小学生のときに、我が家に来てくれました。入所の理由は、親との死別の子が1 人、あとの3 人は虐待です。虐待といっても原因は複雑で、親の離婚や失業、親の病気、家庭の貧困とか、さまざまなものが折り重なって、親御さんも自分のことでいっぱいいっぱいのような家庭から来た子がほとんどです。いろんな過去を背負って、傷を受けてきた子どもたちですが、今はみんな明るくて素直ないい子ばかりで、子どもたち4人と主人と私と6 人で、にぎやかに暮らしていまUniversity of NIIGATA PREFECTURE 28