ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めてい生活と食事にも気を使ってみました。そんなふうにして、時間をかけて少しずつ関係を築いていくうちに、だんだんと落ち着いてきて、本当に子どもらしいかわいい子に変わっていきました。ある日、以前通っていた保育園の職員が、実は前通ってた保育園では結構有名な問題児だったそうですけども、彼のことを心配して連絡をくださって、どんな様子かを恐る恐る見に来ました。そしたら、あまりの変わりように、びっくりして帰ったというようなことでございます。子どもっていうのは、本来、みんないいものを持って生まれてくるものだと思いますけども、自分を取り巻く環境しだいで、簡単に、いいふうにでも悪いふうにでも変わっていくものであるなと思います。しばらくして、母親が退院して、自分の力で日常生活を送れるようになったため、彼は親元に帰りました。今でも元気にしているようでございます。また、別の子の話。彼がうちに来たのは小学校2年生のときでした。先ほども出ましたADHD、注意欠如多動性障害の傾向がありまして、授業中教室を走り回って、授業を妨害する。教室にあるものをしょっちゅう持って帰るような、当時社会問題になっていた学級崩壊の中心人物になるような子でした。思春期を迎えて、さまざまな感情が入り交じり、問題行動もエスカレートしていきました。この頃は、言い合いになると、最後に「本当のお母さんに会いたいんだ。お母さんの所に行きたいんだ」って言って、泣いて訴えるっていうことがよくありました。その後、何とか高校にも入学しましたが1 年もたたずにやめてしまいました。その頃は警察にお世話になることもたびたびありました。最初は、本人も反省して落ち込んだりとかしていたんですけども、だんだん本人も慣れてきたのか、警察に彼を引き取りに行って、車でうちに帰ってる途中に、赤信号で車が止まった瞬間に車から飛び出して、またいなくなって悪さをするというようなこともありました。バイトも幾つかしてみたんですけども、一つも長続きせずに。また、同じ高校であったり、中学校の同級生に高校に行ってない子が結構いましたので、その子たちと夜な夜な遊び歩くというような状態でした。ちなみに、原付の免許も10回ぐらい落ちてます。そんな彼に、ある意味、私たちも振り回された状態だったんですけども。その中、何とか頑張ってるねっていうようなことをずっと言ってくれてた、知り合いの工務店を経営してる方が、「そんな困ってんだったら、うちで働くか?」って声を掛けてくださって、その方が一から丁寧に彼に仕事を教えてくれました。それから、いろんなことがありましたが、あれから数年たって、本人も言っておりましたけども、「あのときは本当にどうしようもなかった。でも、今おかげさまで、いろんな人に助けられて、自分を受け入れてくれた社長が今いるおかげで、今、私があります。私は、将来この社長みたいになりたいと思います。」って言って、今一生懸命頑張っています。その会社のほうも、「彼はなくてはならない存在です」というふうに、今言ってくださっております。今は、立派にうちを独立、自立して、車の免許も取って、結婚を考えている彼女もできて、非常に充実した毎日を送っております。ちなみに「今日、この話、していいか?」って彼に言ったら、「僕は有名になるんですか。有名になるんだったら、名前と携帯番号も言ってください」って、これは言いません。ちなみに、この工務店のほうも、「宣伝になるなら言って」って言われても、それもとりあえず、今は言えません。もし、知りたい方は、後でお願いします(笑い)。ここまで、ほんの一部ですがお話をさせていただきました。これまで、さまざまなタイプの子どもたちとともに生活をしてまいりましたが、その中で、私自身、分かったことがあります。それは、私たちの常識、当たり前っていうのは、決して常識でも当たり前でもないんだなということでございます。私たちが普段当たり前過ぎて、まともに考えたこともないようなことが、彼らにとっては当たり前でも何でもない。全く理解ができない、なんてことがあります。例えば、以前、歯を磨くという意味が分からない子がいました。「歯を磨かないと、口の中気持ち悪いでしょ?」っていうふうに質問をすると、「気持ち悪いってどういうこと?」っていうふうに返ってきます。「周りの人が臭くて嫌な思いするだろう。」って言うと、「自分は臭いとは感じてない。それに、臭いとなんで嫌な思いをするの?」っていうふうに返ってきます。「虫歯になって痛い思いするの嫌でしょ?」って言ったら、「そうなったら歯医者に行けばいいじゃない。」って言います。実際、University of NIIGATA PREFECTURE 24