ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

第2回 里親と子どもがつくる家族のかたちけれども、いったん離れて生活しても、家族の再統合に向けて支援する必要があります。子どもというのは、施設ではなくて、安定したお家で生活をしていくべきで、大規模な施設は進歩的な発展的解消に努めなさいとも言われています。親子関係の悪化によって、児童に否定的な、あまり良くない影響があった結果、子どもが施設に入ってしまうという事態が日本ではあり、そういう報告に、国連としてはすごく懸念を示しています。それは当たり前ではないかと思いますが、きちんとその家族への支援、あるいは再統合に向けての努力をしなさいよということです。「里親さんを定期的に監査すべきで、里親の環境を定期的にチェックしなさい。支援もしなさい。もちろん里親さんには財政的な支援もしなさい」というようなことが、国連からの勧告として要請されています。形としてはあるけれども十分かというと、そうではない、不十分だというのが、私の見解ですね。色々な問題があるけれども、日本は欧米諸国と比べると、圧倒的に里親委託率は低いし、多くの子どもが施設で暮らしています。もう一つは、子どもの人口に占める社会的養護を利用している子ども、つまり里親さんや施設で暮らしている子どもは、日本は圧倒的に、欧米諸国と比べると少ないということですよね。日本では、里親委託率とか、その伸び率がどのくらいか、どんどん伸びているということだけが注目されていますけれども、そうではなくて里親制度を含めた子どもを社会的にどのように養育していくのか、ということを日本では議論し、充実していく必要があるのではないでしょうか。その前に、諸外国との比較研究というものも必要だと思います。それから、虐待によって、先ほど申しましたように、色々な影響を受けたお子さんをちゃんと治療できるような、そういう仕組みが大切だということですね。施設や里親さんだけに任せていいのかというと、決してそうではなくて、それを、質的・量的に拡大し、支援する体制が必要だと思っています。●おわりに最後に、社会的養護を利用している子どもへの応援団づくりということで、福祉サービスを利用する人の中で応援団が圧倒的に少ない人は、里親さんのうちで暮らしているとか、施設で暮らしている子どもさんたちです。何を言いたいかというと、福祉の分野では、高齢者の福祉や障害の福祉の分野があり、高齢の方には子どもさんがいて、そういう人たちには、応援団が圧倒的に多いですよね。「高齢問題どうするの、みんなが行く道だ、ちゃんとして」という圧力をかける応援団、多いですよね。障害のある方については、当事者が車椅子で霞ヶ関に乗り付ける~それもありかと、もちろんあっていいです。あるいは、知的障害の方には、親御さんがいて「どうするの、こうしてくださいよ」と圧力をかけられる。ところが、社会的養護を必要とするお子さんには、なかなかそういう応援団が大勢いない。辛うじて応援団ではなくて当事者として、里親さん、児童相談所の職員、施設の職員がいます。そういう意味では、応援団が圧倒的に少ない。児童相談所の職員も里親さんも施設の職員も、私は当事者だと思っていますが、それだって少ない。そういう人たちには、孤立しないように、させないように、親も子も支援者も、そういう体制づくりが必要だろうと思っています。厚生労働省では今現在、進行形の検討会が四つあると言いましたけれども、一番目に社会的養護のあり方を検討しています。平成23年のものを抜本的に見直そうと、力を入れているところです。そうは言っても、力を入れてやった結果、色々な所と折衝して骨抜きになるというのが、日本の大体の決着の落としどころということもありますので、注意して見ていく必要があるかと思います。最後に新潟県には五つの児童相談所があります。県職員になれば、その五つの児童相談所に勤務する可能性があります。児童相談所における専門職の配置基準とか研修内容とか人材の確保も、しっかりと検討していかなければならないと思っています。ご清聴ありがとうございました。最後にお願いがございます。皆さん、本当に、社会的養護を利用する皆さんの応援団になってください。お金を出してくださいとか仕事をしてくださいという意味ではなくて、こういうことも社会にはあるのだなと、こういう方たちもいるのだなということを気に留めていただく。何かの折には、力になる。できることとできないことがあるかと思いますけれども、力になっていただければ、たいへん有り難いということで、お話を終わりにしたいと思います。21 University of NIIGATA PREFECTURE