ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

ページ
20/40

このページは 平成28年度公開講座記録集 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

平成28年度公開講座記録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めてということです。それでは、お家で生活できないお子さんは、どういう所で生活をするかというと、国・県・市町村・社会が、みんなで育てていかなければいけないという事で、その中の家庭で育てていただくという仕組みが、養子という制度です。それから、今日のテーマの里親さんと、里親さんより少し規模が大きい、ご家庭に近い形ではファミリーホームという制度があります。施設で生活をしていただくこともあれば、施設から少し離れたグループホームで生活をしていただくこともあります。乳児の場合は、乳児院ということになります。虐待が及ぼす様々な影響ということで、厚生労働省が『子ども虐待対応の手引き』に掲載しているスライドです。虐待は、身体的な虐待、それから性的な虐待、それから心理的な虐待、それからネグレクトと分けています。ネグレクトは、必要なケアをしないということです。大体、虐待は複合的に起こります。それだけというのはありえない。つまり、身体的な虐待があった時には、言葉ももちろん含めて心理的な虐待が絡み合っているということです。一応、一番どの影響が大きいかということで分けています。分けている中で、身体的虐待は、骨折、頭蓋内出血(乳幼児をシェイキングするシェイキングベビーシンドローム:SBSになった時には、もう脳にダメージを受けています)で、甚だしい場合は死亡、殺人ということになりますね。知的な発達の面での影響では、安心して生活できない環境でも人間は勉強も含めて模倣や探索行動などをして、学習をして、スキルを取り入れていくわけですけれども、いつ自分に理不尽なことが降りかかってくるのかということに精一杯で、なかなか学習できないということですね。心理的影響というのも、幾つか挙げておりますが、安心して生活できなければ人と安定した関係をむすぶことができない。その中の一つにADHDに似た症状というのがあり、色々な影響が出ると言われています。小児科医師である杉山登志郎先生の『子ども虐待という第四の発達障害』という著書では、千何百人かの患者さんを診察した中で、MRIを撮って、虐待的な環境にいると脳が機能的な変化を及ぼすと述べています。虐待的な環境・状況にいると、脳がそれに適応してしまう、人間は適応するのです。生物は、植物もそうかもしれませんが、その環境に適応するのです。生きるために、環境に自分の体を、脳を、機能を変えるということですよね。どうも、虐待的な環境や状況だと、そのように脳や体が適応してしまう。つまり、見たくないものは見ないようにする、聞きたくないものは聞かないようにするというように。心理的という場合には、心の問題と脳の問題がやはりセットのようです。その結果、一つにはADHDみたいな症状を現す子どもさんがいて、類似点と鑑別点を挙げておきましたが、医療だけでは対応は難しい。やはり、保健、心理、福祉、教育、あるいは労働の分野も含めて協力していかないと、支援はなかなか困難なようです。●児童福祉法の改正と社会的養護の現状里親さんの前に、児童福祉法の改正について、スライドの赤字部分だけ少し話します。「全て児童は、福祉を等しく保障される権利を有する」。生まれたてのお子さんでも、当然です。人として生まれれば、どこでどういうふうに生まれるかは全く関係なく等しく福祉を保障される権利があるのだと。これは、今回の児童福祉法改正で、きちんと書いたのが平成28年の改正で、権利の主体者であるということですね。それから、第2 条が「その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されなければいけない」で新設です。第2 条の2 項も新設で、「保護者は第一次的な責任を負う」とスライドで青い字で書きましたのは、少し当たり前みたいですが、「あなたの責任だけですよ」というだけではないということです。「国・地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」~共同責任を負っているということですね。親の責任だけで終わってしまってはいけないよということを、注意して見ていく必要があると思います。次に第3 条の2 項が新設され、「国や都道府県、市町村が児童の保護者を支援しなければいけない」ということです。もし、家庭で生活ができなかったら、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において、継続的に支援されるようにしなければいけませんと言っております。これも当たり前のことですけれども、今までの児童福祉法にはなかったことですね。また、社会的養護の課題と将来像は、平成23年に出たものです。これを今、厚生労働大臣のもと検討会で全面的に見直し、もっときちんとしたものにするということで、作業を行っています。この全体像University of NIIGATA PREFECTURE 18