ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

平成26年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」という湧水を調査に行った際に、こちらからお聞きする前に地元の方から、榧の木清水の水が濁るとこちらの水も濁るという全く同じ話が出てきて、私はびっくりしました。京都から分霊して持ってきた時に船で運ばれて佐渡に上陸したのが東強清水の港でした。その縁で二つの湧水はつながっており、両方の水がいっしょに濁るということなんです。石清水八幡から分霊してさらに移動してから500年以上経っているのに、その経緯が歴史として伝承されているのです。(ただし科学的に見ると、二つの水はヘキサダイヤグラムの形が違います。ということは二つの水は残念ながら同じとはいえません。せっかくのおもしろい話が科学的にみると台無しになってしまうのですが。)その他にも歴史的にいろいろなものが残っています。「三郎右衛門の川」では、今でも1 月1 日に若水を汲み、?水のもち?といって鏡餅の小さいものに穴をあけ、しめ縄を通したものが玄関に飾られます。湧出場所の竹林は護岸工事のためコンクリート壁になっていますが、そこから700トン弱/日の水が出ており、側溝を通って海に流れています。隆起岩水は125メートルのボーリングをやったら圧がかかって噴き出して来ました。硬度が1 の超軟水で、水温は18℃です。今この水を使って、佐渡の朱鷺のエサとなるドジョウを養殖しています。●水と文化昔から名水あるいは湧き水のなかで有名なものに、弘法大師に由来するものが多くあります。新潟県の名水で「弘法清水」というのが、旧巻町と旧牧村の2 箇所にあります。全国では5,000箇所以上弘法大師にまつわる話が残っています。なかには眼病に効くなどの効用も言い伝えられています。また弘法大師が沸かした水=温泉も多くあります。弘法大師にまつわる話が非常に多いのは、弘法大師の弟子で高野聖といわれるお坊さんが全国を駆け回って布教したことに由来するようです。こうした湧水には神仏が宿っているといわれてきました。ある集落では「ばあちゃんがさ、あの湧水を死ぬ前に飲みたいんだって言うんだよね」という話など、水と土地に絡んだ話が多くあります。柏崎にある「女谷金山不動尊涌水」では、その上に神社があって子どもたちがよく遊んでいました。彼らは喉が渇くと、昔はコップがなかったので、椿の葉っぱを丸めてコップ代りとしていました。そして、「神さん、神さん、水いっぱいください」と言って待っていると、ポコポコと泡が立ってきて、神さんがいいと言ったから水が飲める。こういった話が地元の子どもに伝えられてきていました。水と神仏に関わる伝説はとても多くあります。神仏にまつわる湧水は、柏崎20箇所のうち5 箇所、佐渡では大佐渡14箇所のなかの5 箇所あります。「水の伝説」という本によると、若返る水、神を生む水、恋する水といったものがあるようで、14分類ぐらいできるといわれています。例えば水は様々な願掛けに関係します。有名なものでは、京都の清水寺に音羽の滝という三筋の水が出ています。これには延命長寿、縁結び、それから学業成就のいずれかの御利益があるといわれています。宮古島には水についての伝承があります。人間は死んだらなぜ生まれ変われないのか、人が死ぬという運命は太古どのように定まったかという話が残っています。その話には「スデ水」、「スニ水」、蛇、人間、そして「アカリヤ仁座」というものが登場します。スデ水は絶えず心身が新しく甦り永久の生命をつなぐ蘇生の水です。「スデ」とは「巣から出て脱皮する」という意味です。それに対してスニ水は死んで再来することのできない水(死に水)をいいます。アカリヤ仁座というのはいわゆる青年、あるいは青二才のことです。昔々、月の神様と天の神様が、人間を末永く生きながらえるようにするため、アカリヤ仁座に「担桶に入れたこの二つの水を持って行き、人間にはスデ水を、心さま悪しきものである蛇にはスニ水をかけて来い」と命じました。アカリヤ仁座が担桶を担いで月の世界から下界に長い道のりを歩いてきました。しかし途中で疲れてしまい、我慢できずに桶を投げ出して休んでしまった。そこに蛇がきました。悪しきものでしかも賢い蛇はスデ水に飛び込みました。アカリヤ仁座は蛇が入ってしまったスデ水を人間にはかける訳にはいかないと、申し訳なく思いつつ、スニ水をかけました。それで蛇はいまも脱皮をして世代をつないでいくことができる。この当時蛇には4 本足があったようで、それですばしこく水に飛び込めたようです。意に反してスデ水に飛び込んだ蛇を神さまはお怒りになり、その足を切ってしまった。それで蛇はいまだにニョロニョロとしか動けないと言われています。そのスデ水の飛沫を浴びたのが人間の体の中にもUniversity of NIIGATA PREFECTURE 6