ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

平成26年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」水なのか。地下水というのはご存知のように、雨水が土の中を通って浸透したもので、ある一定の条件があると噴き出してきます。これが湧水です。つまり地元の土壌、土地の自然という条件と密接に関わるのが地下水・湧水だということです。後で平島様からお話があると思いますが、土壌や自然環境といった広い意味で関連しているものをテロワールと呼ぶようです。地下水というのもその土壌と密接に絡んでいます。佐渡市教育委員会ジオパーク推進室が出している冊子のうちの「佐渡の自然史」に、私共が調査した佐渡の湧水、特に2 年間かけて調査した大佐渡の伝承と水質特性について書かせていただきました(小佐渡はその後2 年間かけて調査)。●水の不思議な性質水というのは科学的に非常に不思議なものです。たとえば温度計の中にある赤色の液体はアルコールです。なぜ水に色をつけて使うことが出来ないのでしょうか。あるいは固体の水(いわゆる氷)はなぜ液体の水に浮かぶのでしょうか。一般的に固体はいろいろな分子がぎゅっと詰まっています。つまり固体の密度は液体の密度より大きいので、液体よりも重いのが普通ですから沈むはずです。ところがなぜか水は固体=氷になって浮かびます。水は4 ℃の時に最も重くなる。これには大きな意味があります。例えば海や湖の中でなぜ生物が生きていけるのか。もし氷が重いとすると、湖が凍る時どこから凍ってくるでしょうか。氷は下に落ちていき、底面から凍ってきます。そうすると水中の生物は生きていけません。ところが水は4 ℃の時に最も重くなります。これで生物が水中で生き残ってきたのです。そういう意味で水は非常に不思議な性質を持っています。また、ちょっと専門的になって恐縮ですが、周期律表の中の縦に並ぶ物質として、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、それからテルル(Te)という物質があります。酸素の水素化合物はH 2 Oつまり水です。硫黄の水素化合物は硫化水素(H 2 S)、通常では硫化水素ガスというように気体です。これらを固めようと温度を下げると、普通は重い物質ほどあまり手をかけなくても固まる。軽い物質ほど動きがいいのでなかなか固まらないのです。テルルは?49℃ぐらい、硫化水素は?85℃くらいで固体になります。これらのことから推測すると本来水は?110℃ぐらいになって凍るはずです。ところがなぜか0 ℃で凍ってしまう。水は非常に特殊な科学的性質を持っています。●佐渡各地の湧水の成分湧水の中に溶けている主な成分には、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム( イオン)(Ca 2 +)、炭酸(水素)イオン(HCO 3-)などがありますが、そのうちの8 成分を分析して、ヘキサダイヤグラムを書いてみると、いろいろな形になります。例えば箱根清水、虚こくぞうしみず空蔵清水、大おしょうず清水、百むかでしみず足清水などは同じような形をしています。日本の名水百選ではこういうパターンが多いです。ところが佐渡の水は異なる形が多いようです。賽よいの河かわらしみず原清水や弥やなしみず奈清水はいわゆる杯型です。カルシウムやマグネシウムは硬水、軟水に関係します。例えば中段が出っ張っているのは、カルシウムが比較的多いです。弥奈清水のように、ここが出っ張っていないのはカルシウムが少ないです。例えばさきほどの算盤玉形の箱根清水のカルシウム含有は104mg/?で、WHO分類でも日本の分類でも中程度の硬水(やや硬めの水)となります。ところが弥奈清水などは16?18mg/?とかなり軟水です。ヘキサダイヤグラムの形で、このように硬水か軟水かの大体の判断ができます。硬水で有名なのはペットボトルで売っているエビアン(約300mg/?)です。ヨーロッパの硬水は日本と比べてかなり高い数値です。ヨーロッパ大陸は非常に広く日本のように急勾配が少ないから、水が海に出るまで時間を要します。つまり土壌と接触している時間が長いので、土壌中のカルシウムやマグネシウムなどが水に溶け込み、硬水になりやすい。University of NIIGATA PREFECTURE 4