平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 55/80

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第3回公開講座 阿賀野川流域と『阿賀に生きる』を語るて、参治さん、ほんっとに大喜びしてくださって。旗野 あの番組は、普通水俣をテーマで取り上げると、皆さんも承知のような、いかに大変な問題であるかみたい....

第3回公開講座 阿賀野川流域と『阿賀に生きる』を語るて、参治さん、ほんっとに大喜びしてくださって。旗野 あの番組は、普通水俣をテーマで取り上げると、皆さんも承知のような、いかに大変な問題であるかみたいなことに作りたがるんだけど、やっぱり人間、渡辺参治にスポット当てたところが評価されたんじゃないかなっていうふうな気がするんですよね。その魅力。遠藤 はい。審査員の皆さんの言葉で、この番組はすごく、手法が、技術が下手だと。音のレベルからしてもそうだし、構成にしても未熟であると…私、初めて手掛けたドキュメンタリー番組なのでね…しかし、しかし、渡辺参治さんの魅力で、全てが帳消しにされているって。大熊 ハハハハ。遠藤 そう、私の力は全くないんです。参治さんが取った賞なんです、フフ。大熊 参治さんを選んだってところが、あなたの、男を見る目が…ハハハハ。遠藤 男を見る目…よかった。大熊 で、参治さんも、女を見る目がある。それで気に入ったと。遠藤 ハハハハ。旗野 『阿賀に生きる』のときは、既に参治さんと仲間だったんだけど、患者の会の一員だったんです。10年ぶりで『阿賀の記憶』っていう、今日はその準備してきませんでしたが、佐藤真、小林茂、再び阿賀に入るんです。そのときの主役が、なんと渡辺参治さんなんですが、ただもう、全く『阿賀に生きる』とは別物でありまして、いわゆる佐藤真監督の実験映画的なものであります。渡辺参治さんがどういう人であるか、一切説明もない、ただの歌の好きなおじいさんですね。かねさやのラーメンすすりながら、「女というものは」なんて、わけの分からない映画なんです。佐藤さんに言わせると、われわれは勝手に『阿賀に生きる』の続編じゃないかと期待してしまう。『阿賀に生きる』は加藤さん、遠藤さん、長谷川さんというふうに区別つきますけど、大学なんかで学生諸君に見てもらったりすると、もうわけ分からない。ぐじゃぐじゃなんです。みんな年老いた、水俣病にやられた人たちぐらいのレベルで、ま、そういうもんだと。だからあえて一切説明はしないんだと。ただ、なんか変わったおじいさんがいるもんだなあぐらいが、いわゆる記憶に残るっていうふうな話をちょろっとしてましたけども。まあ、そういうことで言うと、麻理さんにとっても、渡辺参治さんの存在、大きかったけれども、私にとっても、水俣病になっても生きててよかったと思っていただけるような、その後の関係って、やっぱりとっても大事で、補償金とか医療制度とかも大事なんだけど、みんな高齢であるし、水俣病っていう病を抱えて、それでも生きててよかったみたいなことを、なんか手助けしてやるのも大事な仕事の一つっていうことを、まあ、教えてもらったなあ。遠藤 参治さんの十八番、なんでしょう?大熊 どどんぱ。遠藤 どんぱん節。安田の歌…あのね、安田に昔からある歌ですけどね。旗野 まあ、民謡だな。遠藤 ほんとうにお上手です。プロ級ですよね。大熊 さて、またちょっと映像のほう、見てもらいたいと思います。このお地蔵さんをどうしても旗野さんにして話してもらいたいと思います。その前に、これが水俣にあるお地蔵さんです。これが阿賀野川のそばにあるお地蔵さんです。これが利根川の北岸の雲龍寺っていうところにある、館林にあるお地蔵さんです。作者はみんな漆山昌志さんという方で、安田の石工ですね。ということで、これから何が始まるかというと、旗野さんにお願いします。旗野 私が関わってる安田の患者の会の人たちは、2 次訴訟の原告で、水俣病認定を求める裁判でした。1995年の12 月、当時の村山政権のときに、いわゆる政治決着という言葉が使われましたけども、要するに和解ですね。苦渋の選択っていうことで、確か260万の一時金っていうか、補償金でもない、見舞金でもない、わけの分からないお金だけども、みんな高齢になってですね、どんどん亡くなって、百人余りいた患者の会が今、安田は4 、5 人しか集まれないんですよね。それほどやっぱり長い時間、高齢の人たちが、運動してきたわけですけども。ほんとに東京まで行ったり、生まれて初めて裁判をやったりした人たちですが、みんな一応運動のけじめついて、節目迎えたんだけども、何やりたい? って聞いたら、温泉行きたい。湯治が大好きだって。なんで今まで言わなかったの、いつでも行けそうなのに? って言ったら、あの人たち裁判やってるくせに、カンパで温泉行ってるんじゃないかとか、またカラオケ歌ってるとかって言われるんだそうです。だから我慢してきた。じゃあ、温泉に53 University of NIIGATA PREFECTURE