言語地理学のへや

言語地図作製システムSEAL 公開と情報交換の場

県立新潟女子短期大学 福嶋秩子

現在使用を推奨するSEALの各バージョンについて
(SEAL ユーザーズマニュアル第8版より一部変更して転載)

現在使用を推奨するSEALの特徴は以下のとおりである。発刊されたそれぞれのマニュアル名を各項の最後に示す。マニュアル発刊後に微修正したり、バグがみつかったりもしているので、冊子体マニュアルの一部があわなくなっている。今回できるだけマニュアルを改訂して、改訂版マニュアルのPDFをシステムとともにホームページで公開する。

1 SEAL version 6.18J for Windows
 Visual Basicで書かれたWindows対応版のSEALの最初のバージョンが5.0Jであった。6.18Jは、その発展形である。5.0JはWindows 95対応版で、その特徴を述べれば、次のようである。
・カラーの項目地図とそれを総合した集計地図・ランク地図が描ける。
・プリンタへ地図を直接出力する(それ以前は画面のハードコピーだった)。
・言語データに、アルファベット・カタカナ・漢字が使用できる。地図の凡例に発音記号が表示できる。
・言語データの集計と地図化が容易に行える。頻度の平均値や標準偏差を計算できる。
 その後、地図の大きさの指定、併用時のはんこの位置設定、はんこ指定ファイルや地図作成日時の出力、フォントの指定などができるように改良し、さらに様々なバグを改良して、Windows 98/Me/2000対応版の6.0Jとした。その後、インストール方法を変えたところ、Windowsのバージョンに関わらず、Windows Xpを含むいずれのWindowsにもインストールが可能になった。これを6.1Jとし、微修正を加えて6.18Jとした。したがって、SEAL 6.18J for Windows である。ただし、Windows Xpで、プリンタをつないでいないとき、プリンタの電源が入っていないときは使えないというバグについては解消されていない。
 なお、Windows Xp Professionalにインストールする場合とWindows Vistaにインストールする場合は、一手間必要である。これについては、6.2E・6.3Eおよび7.0Jにも共通なので、別にまとめて述べる。ここを参照されたい。
 インストール方法などについて別途述べる(4.1参照)が、6.18Jの使用法については、ホームページで公開するPDF版マニュアルを参考にしてほしい。なお、冊子体マニュアルは残部がない。
   福嶋秩子・福嶋祐介『パソコンによる言語地理学:その方法と実践 SEALユーザーズマニュアル 第5版(SEAL 6.0J for SEAL 98/Me/2000)』科学研究費報告書 2001年3月

3.2 SEAL version 6.2E/6.3E for Windows
 6.0Jをもとに英語版を作成し、6.0Eとした。したがって、6.0Jの特徴はすべて6.0Eの特徴となる。6.0Jと異なるのは、SEALのフォームやコマンドの表示に漢字を使わずすべて英語にし、インストールファイルを英語版Windowsで作ったことである。その結果、英語版のみならず、中国語版、韓国語版Windowsにもインストールし動かすことができるようになった。6.1Jとあわせてインストール方法を変えたことで、6.1E以降は、Windowsの各バージョンに対応する。また、Windows Xpで、プリンタをつないでいないとき、プリンタの電源が入っていないときにSEAL6.1J/6.1Eが起動しないというバグに対応し、プリンタ設定ができるようにしたものが6.2Eである。その後、韓国の李相揆教授の要請で、韓国語でよく使われる発音記号を加え、6.3Eとした。
 なお、Windows Xp Professionalにインストールする場合とWindows Vistaにインストールする場合、6.18Jと同様、一手間必要である。ここを参照されたい。
インストール方法などについて別途述べる(4.2参照)が、6.2E/6.3Eの使用法については、以下のマニュアル(残部あり)あるいはホームページで公開するPDF版マニュアルを参考にしてほしい。
  Chitsuko & Yusuke Fukushima, SEAL Users’ Manual, Sixth Edition (English Version): SEAL Version 6.0E for English Version Windows 98/Me/2000 科学研究費報告書 2002年3月

3.3. SEAL version 7.0J for Windows
 6.0Jをもとに、以下の新たな特徴を加え、大改訂を行ったものが、SEAL 7.0J for Windowsである。
・ 凡例の表示でIPAフォントを使える。
・ 白地図の作成において、曲線・直線の太さ、線種や色を変えられる。
・ 同じ地域で調査が行われ、地点が異なるなどの異なる調査資料の統合を想定した言語地図の作成を可能とする。「属性」の異なる地図を統合した地図を「グループ地図」と呼ぶ。これは、データの「属性」の違いと捉える。統合だけでなく、重ねあわせにも応用できる。
・ 作成した言語地図(項目地図、集計地図、ランク地図、グループ地図)をファイルとして保存し、簡単に呼びだせる。
・ 保存した地図ファイルをリスト化することで(ファイルリスト)、スライドショーのように地図を連続的に表示できる。
・ ファイルリストの応用で、2枚の地図を色を変えて、1枚はカラーのまま、もう1枚はグレイの濃淡で、重ね合わせる機能をもっている(紀要論文「「パソコンを用いた言語地図重ね合わせの新手法」の図5−9参照」。
 また、6.2Eに付加された、Windows Xpに対応するためのプリンタ設定も追加された。
 なお、Windows Xp Professionalにインストールする場合とWindows Vistaにインストールする場合、6.18J・6.2Eなどと同様、一手間必要である。ここを参照されたい。
インストール方法および、新たな地図データを扱うときの方法などについては、別途述べる(4.3、5.参照)が、7.0Jの一般的な使い方については、以下のマニュアル(残部僅少である)あるいはホームページで公開するPDF版マニュアルを参考にしてほしい。
  福嶋秩子・福嶋祐介『パソコンによる言語地図の統合:SEAL ユーザーズマニュアル第7版(SEAL version 7.0J for Windows)』科学研究費報告書 2004年3月

4. SEALの構造
 Windows版で動くSEALは、SEALを実行すると、それにしたがってパソコンの画面が変化する。このような画面をフォームと呼ぶ。SEALでできる仕事をフォームとの関連で示したのが、図3.1である。実線で示したのがフォームである。矢印の方向に作業が進むが、必要に応じてもどることもできる。白抜きの枠の機能はSEALの初版からある機能で、SEALのすべてのバージョンがそなえている。一方、網掛けの枠の機能は、SEAL 7.0Jだけが備えている機能である。


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