県立新潟女子短期大学英文学会

 

卒業生アンケートのまとめ

(平成11年7月発行 みゆうず17号より転載)
                           
 カリキュラムの改革や将来計画の策定などの参考にするために、卒業生の皆様にアンケートを実施しましたが、115人の方からご回答がありました。はがきに切手をはってご回答くださいという身勝手なお願いに答えてくださった皆さま、ありがとうございました。なお、そのうちfaxでの回答が2名、e-mailでの回答が8名でした。以下に、アンケート結果のまとめとグラフをのせたいと思います。(グラフを見るには、それぞれのの部分をクリックしてください。)
 
分析編
 
 Q1 1回生から31回生までのすべての回生から回答があった。以下のまとめでは、全体の傾向のほかに、10年単位で3期に分けて変化をみていくことにしたい。
 Q2 出身地域は、期による差が大きい。1−10回生の時代は県外出身者が3分の1以上を占める。21−31回生は新潟市内出身者が3分の1をしめる。全体の県外出身者の数21名で、内訳は次の通りである。
 北海道、 秋田、 岩手、 秋田、 山形(2)、 福島、 富山(4)、 栃木、 群馬、 千葉、 福井(2)、 長野(2)、 石川、 島根、 広島
 Q3 入学形態では、初期は推薦入試がなかったため、1−10回生には推薦入学者はいない。
 Q4 県短を第一志望とするものの割合について期による差がある。1−10回生と21−31回生での割合が高い。11−20回生については、県内国公立4大を第一志望としていた人の方が多い。
 Q5 県短を志望した理由については、次の順に高い。「公立だから」「学費が安いから」「新潟県の大学だから」「受験に失敗したから」「短大だから」「家族や先生のすすめ」「特色にひかれて」「就職がよい」。
 Q6 県短の英文科で学んでよかったと思うかということについては、「強くそう思うと「ややそう思う」が、あわせて80%を越えた。
 Q7 英文科で学んでよかったと思う理由は、「友人」「勉学」「教員」「就職」「免許・資格」の順になっている。
 Q8 卒業後すぐの進路については、全体の3分の2が民間企業に就職している。21−31回生には公務員が多い。
 Q9 卒業後の職歴については、期による差が大きい。21−31回生は「ずっと有職」が多い。11−20回生は「職業経験あり、現在無職(かつて有職)」が多い。1−10回生は、「職業一時中断、現在有職(一時無職)」が多い。いわゆるM字型就労で、結婚・育児のために一時仕事を中断して、その後また仕事にもどるという人が多いことがうかがわれる。
 Q10 現在、回答者の約7割が職業を持っている。内訳は以下の通りで多様である。うち5割が事務系であるが、公務員や教員や教育サービスなどの割合が高いのが特徴的である。期ごとの有職の人の割合の変化にも、Q9で見たのと同じことがうかがわれる。
 事務系 33人(一般事務のほか、外資系企業での事務、医療事務、歯科医院専従者、土地改良区職員、自営業で経理担当、歯科診療所の経理、商社の事務、銀行、損保、外資系金融機関、生命保険会社、団体職員、外資系製薬会社営業事務など)
 公務員 10人(地方公務員、 千葉県職員、 準公務員専門職、 裁判所書記官研修生、 裁判所速記官、 学校事務など)
 教員 6人(小学校教員、 中学校教諭、 高校教諭、 指導主事など)
 教育サービス関係 11人(英語教室自営、学習塾指導者、塾講師、塾英語講師、英会話学校、添削指導員、幼児教室講師、ピアノ講師、パソコンのインストラクターなど)
 司書 2人
 自営業 4人(パン屋(自営)、 自由業、 フリーアナウンサーなど)
 その他 11人(時間外保育パート、社員食堂のパート、パン屋にてアルバイト、地図調査員、販売、販売業、情報技術センター、海外との資料管理、建築不動産関係、コンピュータ関係、電子部品製造)
 Q11 英文科で学んだことは役だったかという問いに、全体の5割強が役だったと答えている。特に1−10回生にその割合が高い。役だったと答えた方の約半分は、職場で役だったとの答えである。英語を教えているという他に、外国からの文書の翻訳、外国人へのお客様への対応などがある。その他は、海外旅行や趣味、ボランティアなど英会話で役だったという答えだった。
 Q12 卒業後に英語を使う機会はあったかという問いに、全体の7割強があると答えている。これも1−10回生にその割合が高い。
 Q13 県短が四年制大学になってほしいと思うかという問いに、全体の5割が「はい」と答えている。1−10回生と21−31回生はその割合が高い。「はい」という答えの理由としては、「2年間では短すぎる」「4年制に行きたかった」などがあった。一方、「いいえ」の理由としては、4大における就職難や学生の経済的負担増を心配する声や、特色ある県短を残していってほしいという声があった。
 Q14 県立の四年制大学ができるとしたら、女子大がいいかという問いに、全体の約2割が「はい」と答えている。6割は「共学」を望んでいる。「共学が自然」という声がある一方で、「女子大の良さ」を強調する声もあった。
 Q15 県立の4年制大学に望む学部学科としては、次のような希望が高かった。第1位は語学・文学系の学科(26)で、特に実用的な英語力をつけること(7)や英語以外の語学を学べること(11)という付帯意見があった。関連して、国際系学科(5)や国文科(6)の希望もあった。次に多いのは福祉系(11)や情報系(9)で、教育系(7)、心理学系(6)、政治・経済系(6)、芸術系(映画など)(5)、社会学(4)、司書(3)が続いた。その他、医学、薬学、獣医学、歯学、理学、工学、女性学、環境学、農学、経営学、史学、哲学などの希望があった。新潟大学と異なるユニークな学部構成を望む声や、企業で再教育しなくていいような即戦力となりうるような学生を育ててほしいという声があった。
 Q16 県短英文学科に望むこととして、貴重なご意見を多数いただいた。以下に、主なものを掲げる。なお、一部に対しては、県短の近況報告を兼ねてお答えをした。
 
・今後も公開講座を続けてほしいと思います。以前、英会話講座を受講し、そのおかげで英会話グループを結成、自分の力を高め、自信につながっています。(2回生)
・常に世界や社会の動静に敏感に対応できる柔軟性のある英文科の発展を期待しております。(2回生)
・今の県短の学生気質はわからないのですが、華美にならず質実に勉強しようとする乙女達の集まりであってほしいと思います。(3回生)
・いろいろな分野で、働く女性が多くなっている現代です。専門的に知識を持って社会で活躍する人材を育成してほしい。(3回生)
・のびのびとした自由な校風を失わずにさらなる発展を望みます。(3回生)
・開学当初は公立、短大、英文は全国でも少なかった為、全国から学生が集まった。新潟にしかない特色あるカリキュラムなど思い切った改革をしていかないと短大そのものの存続が危ういと懸念しています。(3回生)
・シェークスピアも結構だが、翻訳や会話など役立つものを。(3回生)
・at home な雰囲気を絶やすことなく、学力の面、余暇の面でも充実した学生生活が送れるようにと願っています。(5回生)
・英文学を原文で読める人の育成を、文学から自分の人生に思いが至るようになれるように。(6回生)
・伝統維持(やたら学部を増やさない)。
・公開講座が何回か催されたら是非参加したいです。(7回生)
・知名度を高めたい。同窓生の絆を深めたい。(7回生)
・学生、教官共にレベルを高く保てば、道は拓けると思います。入れ物より中身が大切と思います。(7回生)
・英会話に力を注いでほしい。(8回生)
・皆、英語のプロをめざす、活気ある英文科、自信のある短大英文科であってほしい。(8回生)
・県外に住んでいるので、なかなか会合に出席できないのが残念です。でも年に1−2回は会合などの企画をお願いします。(9回生)
・交通の便をもっと良くすること。もっと町にあれば...住宅地とか...回りが畑ではちょっと憂鬱になりました。(9回生)>>まわりはまだ田畑に囲まれていますが、近くにレストランなどが増え、さらに大形本町にジャスコができて、ずいぶん便利になりました。(福嶋)
・優秀な教員をこれからも迎えてほしい。(9回生)
・外国の先生と会話できる時間を多くとってもらいたい。英米文学史などの他に、その国の文化や風習などもっと気軽な内容を入れてほしい。(9回生)
・短期間とかの留学をされたりと実践をされているようで、更なる発展をと思います。(9回生)
・県短の英文科の学生さん方に伝えたいことは、日々の勉学を大切にしていただきたいこと。将来何かの形できっと役立つと思います。(10回生)
・卒業後20年以上もたってしまい、今の英文科の状況もわかりませんが、本学会の為にご協力いただいているすべての人々に感謝しています。これまで通り活動していただけるようよろしくお願いいたします。(10回生)
・自分の原点に振り返る機会を与えてくれるので、諸先生方の講演、講義の様子を伝えてほしい。(11回生)
・現在国際化ということで外国語の習得のニーズが高まっています。高校生、中学生などにも英文学科の活動などを紹介し、大学をアピールしてほしい。ALT達に負けない人材を出してほしい。(12回生)
・パソコンの導入。(12回生)>>現在コンピュータ演習室には60台余のパソコンがあり、いずれもインターネットがつながっています。英文学科の学生は1年次に全員が情報処理演習を受講し、この使い方を学ぶことができます。(福嶋)
・少人数でも良いからレベルを保ってほしい。誇りのもてる学科であってほしい。(12回生)
・時流に妥協しないで、学生の質の向上、学力の向上に自信をもってとりくんでほしい。(12回生)
・変わらずにいること、進歩すること、この二つのバランスをうまくとっていってください。(12回生)
・卒業生にも海外英語研修の道が開かれればいいですね。(13回生)
・実践で役立つようなような科目をどんどんとりいれてほしい。(13回生)
・英文学だけでなく、会話に重点をおいた学部学科もあってよいと思う。(13回生)
・質とともに向上していただきたい。(13回生)
・海外に姉妹校をつくり、優秀な在学生を交換留学させるような制度があればよいと思う。(14回生)
・英会話の時間がもっと多く組み込まれた授業を望みます。(14回生)
・国際交流などの機会を覆うして語学力を高め、他国の文化をたくさん学んでほしい。(15回生)
・会話力をつけるためのカリキュラム。(16回生)
・結婚して新潟を離れ、今は外国で暮らしています。今になってもっと英語を勉強したいと思うようになりました。新潟を離れた人にでも、勉強できる機会を与えていただけたら幸いです。(19回生)
・地味というイメージが強すぎるので、変えてほしい。他大学との交流があまりない。(19回生)
・もっと教員を目指してくれる方が増えることを望みます。免許は取るだけでなく。(19回生)  
・私たちが現役の学生だった頃と違って施設も大学周囲の環境も整っていて羨ましい限りです。海外英語研修もあの頃そうやっていけたらよかったのにと思います。学生にはチャンスを逃さずしっかり勉強してほしいし、その道案内をしてあげていってほしいと思います。(19回生)
・就職して、さらに家庭に入ってしまうと、英語に触れる機会は自分から求めない限り激減します。それを多少でもバックアップできるような体制が整えば有り難いです。(20回生)
・昔は英文科卒業というだけでもてはやされた時代でした。今は誰もが話せ、特異性がなくなってしまいました。英語以外の専門性の方が強みになる時代です。専門分野から必要性が生まれて上達していく人が沢山いるので、強みになるほど英語をマスターしてほしいです。授業ももっと厳しくしてほしかったです。(20回生)
・今の職業に就いたとき、英語で考え、意見を述べる力のなさにとても苦労した時期があった。ディベートや説得の話術、様々な命題について書くエッセイやアカデミックライティングなどは、学生のうちにたくさん経験しておいた方が良いと思う。(20回生)
・学生はともかく、大企業・有名企業への就職ばかりを望む親の意識を変えてやってほしい。強い女子学生を作ってほしい。(21回生)
・大学のように少人数ゼミがあるとよかったかな。(21回生)>>平成12年度から、半期2単位のゼミを2年前期に導入する予定です。(福嶋)
・内外の優秀な先生方からたくさんの教えをいただいてすばらしい人生を開ける女性達をたくさん輩出していってほしいと思います。(21回生)
・ひたすら忙しいだけだったということのない、充実した時間を過ごせるようであってほしい。(21回生)
・私のいたころは失礼ながら地味というイメージがあった。今は校舎も新しくなり、大分明るくなったと思うが、「地味だけど堅実」という良い面は残していってほしいと思う。頭だけでなく、体で英語を学べるようなそんな英文科であってくれたらと思う。(22回生)
・一般の人を対象にした英会話セミナーなどを開いてもらえたらと思います。(22回生)
・継続的に参加できる英会話の公開講座を提供してほしい。できれば土曜日など、社会人でも参加できるような時間帯でお願いしたい。(22回生)
・日常会話ができるほど勉強してほしい。海外へ行くチャンスを増やしてほしい。(23回生)
・英文科の文学も必要だが、もう少し英会話を多く取り入れた方がよかった。(24回生)
・口語英語の授業の充実。話せる人と話せない人の差がある。実生活に役立つもの。(26回生)
・卒業したとたんに、英語を使う機会がなくなってしまった人がたくさんいます。定期的に現役の学生や教職員と卒業生とが共に英会話を学べる機会を是非つくってほしいです。高いお金を出さないと英会話が習えない、外国人と出会えないというのが現状のような期がします。(26回生)
・県短には県短にしかないアットホームな魅力があると思うので、大切にしてほしい。県短の英文学科の特色を明らかにしてほしい。(28回生)
・英語を理解するためだけではなく、広く英語を用いる文化を学ぶといったように幅を持たせるべきだ。英語・英文学そのものより歴史や文化に興味のあった私には授業内容が薄っぺらに思えた。(28回生)
・在学中に感じたことは、せっかくよいコンピュータルームがあるのだから、電子メールのアドレスを全員に配ってほしかった。また、初歩的すぎて興味のわかない必修科目があり少し不満だったので、必修のわくを広げて1年次から色々な教科が学べるようにしてほしい。(30回生)>>平成10年入学生から学生全員にメールアドレスを配るようになりました。また、平成12年入学生から新カリキュラムになり、1年後期から多様な科目が選択できるようになる予定です。(福嶋)
 
 アンケートの回答率は低いが、上のまとめはおおまかに卒業生の傾向をあらわしているように見える。たとえば、県外出身者が減ってきたことや県短を第一志望とする人の割合の変化は、県短の位置づけの変化に対応している。職業についての回答は納得できるものである。また、県短の英文科で学んでよかったと思うかということについて肯定的な回答が多かったことは、そう思う人がこのアンケートに回答してくださったのだろうというバイヤスがあるにしてもうれしいことであった。県短の将来構想については、県立短大としての存在価値や女子大に共感する人がいるものの、共学の4年制大学への脱皮を望む人が全体としては多かった。これは本学の将来計画について学内で議論して出した結果と同じである。県の財政的状況の厳しさから前途は予断を許さないが、新潟県の高等教育の一翼をになっていくために、このままではいけないことは確かである。短大として存続するにしても、4大への昇格をはかるにしても、自己評価自己点検が欠かせない。学生を教育するためのカリキュラムの総点検や、社会人向けのプログラムの開発など、課題は山積みである。いただいたご意見を参考にしつつ、英文学科として不断の努力を続けていきたいと考えている。
 最後に、アンケートにご協力いただいた皆さんにあらためて感謝したい。なお、この分析のもとになったデータの入力は、LL臨時助手の長森ゆかりさん(30回生)にお願いした。
 
 

 県立新潟女子短期大学 英文学科   担当: 福嶋秩子

 


Chitsuko Fukushima fukusima@elle.nicol.ac.jp

 

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