ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

ページ
8/40

このページは 平成28年度公開講座記録集 の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

平成28年度公開講座記録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めてます。●昔からある暮らし方、やり方小林:秋山郷(長野県と新潟県にまたがる中津川の上流域に点在する集落)のほうが雪崩で道がふさがって、東京からテレビ局が来て、地元の人に「食料は困りませんか」とか聞いていましたが、まともに答えることなく行き過ぎるのをテレビで見たことがあります。彼らは半年ぐらい生きていくための米や味噌、野菜は保存してあります。ただ幼稚園に行くとか、学校に行くとか、病院に行くとか、そういうことで困るわけです。今の考え方で、すべてを評価することはできません。例えば、木暮さんは、昔からあるやり方を大事にしています。木暮さんは「伝統農業」と言っていますが、農作業においても機械化が全ていいとは考えていません。機械化がされていないからこそ、われわれみたいな素人が行っても、稲刈りも田植えも手伝えるわけです。大型の機械を使っているところに行っても、どう手伝っていいか分からないですよね。また、あの小さい棚田も、あれが大きかったらやる気が出ないですよ。小さいからこそ、もう一枚、さらにもう一枚という形で、だんだんと仕事が終わっていく。木暮さんが言っていましたが、田んぼの仕事をしている時、ある所でなんかジュクジュクしているなと思っていると、そこから水が出てきたそうです。昔からそこにある地形をうまく利用して、人々は長いこと生活してきたということだと思います。福本:興味深い話で、さらにつっこんで聞いてみたくなりますけれども、今は我慢して、次に進みたいと思います。では、荒木優花さん、感想をお願いします。荒木:今回、この映画を見させていただいて、すごくほのぼのとした雰囲気の映画で、とても癒やされました。自分たちで村をつくり上げて、それを自分たちで守っているという、この「つながり」のある生活が、すごく印象的だなと思いました。そして、同時に、都会からボランティアに来ていたり、キノコ狩りをしていたり、そういう外からの「つながり」もすごく印象的でした。そこで、質問させていただきたいのですが、そういう外から遊びに来たり、ボランティアに来る方は、どういうつながりやきっかけで村に来ているのでしょうか。●外から地域のなかに入ってくる人たち小林:これも、なるべく短くお答えしますね。大きく三つあると思います。一つには、地元を出た人たち、親戚筋のつながりで来る人がいます。それから木暮さんのように、たまたま出会いがあって、たまたまお家をもらってというように、何かのちょっとしたきっかけで来るということもあります。そうすると木暮さんのつながりで都会から農作業の手伝いに来たり、雪のシーズンに来て、めずらしい「雪上キノコ狩り」を体験したり。そのシーンはおもしろいですよね。固い雪の上を歩いていくのですが、そこがもう地上5 メートルくらいのところなのですから。高い木になるキノコを採ることができる。ウサギが飛び出てくるところが偶然に映っていますが、地元の人が、それを捕ろうと棒を投げつけます。ウサギを見ると反射的に反応するわけです。それから行政レベルで地域の活性化のために「地域おこし協力隊」などを募集し派遣する事業を行っています。例えば3 年間だけ、月給制で面倒を見ましょうという事業です。ですからその3 年が終わる頃が一番大事で、うまくいけば「私はここに残る」と決める人が出てきます。だからその頃、家とか、仕事とか、そういうものをタイミングよく用意してあげると、地域支援から永住へつながっていきます。今そういうのが非常に上手なのが、鳥取や島根だと聞いています。新潟は、試みはあるのですが、まだちょっと弱いところがあります。また、山村留学をきっかけとしたものがあります。ここの地区は、山村留学を20年ほど続けた経験があります。山村留学センターはもうなくなりましたが、今でも子どもに農村体験をさせたいということで、小中学生ぐらいが1 クラス、2 クラス単位で入ってきます。これまでも山村留学の人たちを受け入れてきた経験があるので、例えば、映画のなかのススキの場面で出てくる南雲さんのところも5 人ぐらいは引き受けます。そうすると、そういう経験をした人たちが大きくなって、やっぱりここがいいと戻ってくることがあります。木暮さんが住んでいる地区は過疎化が激しく、棚田が放置されています。そうしたところですから、University of NIIGATA PREFECTURE 6