ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

第2回 里親と子どもがつくる家族のかたち困ももちろんあるし、メンタルヘルス、うつとか適応障害とか色々な課題を持っている。そういう中で、色々な課題を抱えていると、どうしてもパワーレスになってしまう。そういうことで、なかなか社会生活がうまく回らないという場合もあります。虐待だけを特に言うわけではありませんけれども、どうも孤立している方が多いということが言えるかと思います。ネットでは社会と繋がっているみたいだけれども、そういった孤立をしていることもよく見られます。そういう中で、どうしても子どもの安全や安心を児童相談所としては最優先にするわけで、介入的なアプローチがどうしても必要になります。なかなか、従来の傾聴・共感・受容というところだけでは難しいところで、介入的なアプローチが必要になってくる。児童相談所だけでは、そのご家庭の支援というか、お子さんの支援は難しいので、色々な医療の方や、福祉事務所の方、保健の方など、そういう方々と連携をしなければいけないということになっています。そのような方々と連携した、ソーシャルワークが必要になってきます。社会生活を営む上での生きづらさということで、新聞を毎日読む方やネットでニュースを見る方はいると思うのですけれども、ネットでニュースを見ていると、どうも片寄ったニュースになっていくみたいですね。新聞とかテレビで報道されるものということで、幾つかスライドで挙げております。皆さん、ネットで調べてみてください。子ども虐待で、バーッと情報が出てきます。それから、近年社会的に力を入れていますけれども、自殺問題ですね。新潟県も自殺が多いです。そういう意味で、自殺の問題、精神疾患の問題、それから非正規雇用という問題、それから最近よくいわれる相対的貧困の問題も、皆さん後で調べてみてください。こういう問題がいっぱいある。それから、不登校、引きこもりの問題もありますし。薬物、アルコール。薬物の問題は結構、蔓延しています。それから、ギャンブルでは、IR法案が通ったという話もあります。このような世の中の動きと虐待というのは、無関係ではないということですね。北海道の名寄市立大学の山野さんは、その個人の責任性とか、それはあなたの責任でしょとか、それはあなたの心の持ちようでしょというところに、過度に焦点化しているのではないかということを、言っていますね。その中で、家族の置かれている困難さ、生きづらさをどう支援していくかという問題もあれば、それを支援する社会的資源や仕組みは十分なのかというような問題提起をしていらっしゃる。私も、そのとおりだと思います。虐待というのは、ややもすると、ものすごく感情的な、鬼のような親と可哀想な子どもという構図で捉えがちですけれど、決してそんなことはない。背景には、生きづらさみたいなものが必ずあるということですね。それを解決・支援していかなければ、なかなか虐待という問題は良い方向には行かないということですね。ちなみに、平成15年から厚生労働省が毎年、虐待で死亡した事例の検証をしています。第1 次から第12次まで報告をしています。半年や1 年半の報告もあるので、お亡くなりになった子どもの人数は、多かったり少なかったりしますけれども、心中以外つまり心中は除いたという数字で、年間50人位の子どもが死んでいるということですね。年間50人というと、1 年間は52週位あるので、毎週1 人という計算になります。心中を入れると、この1.7~1.8倍位になります。2 倍弱ですね、心中でお亡くなりになるお子さんを入れると、2 倍までいかないけれども毎週1.5~1.7人位になると思います。これは、その年齢を調べたスライドです。0 歳が283人で約半分、45%ですね。0 歳のうち、0 日児がいます。生まれた、その日が約4 割。0 日児は、産院では生まれていない。自宅であったり、自宅浴槽であったり、自宅トイレであったり、公園であったり、それが現実というか、そういうことがあるということですね。これもよく新聞、テレビに出るかと思います。一方、ひと月に満たない0 月児が、35%います。また、死亡事例の検証の中で加害の動機を調べたらどうなるか、複数回答ですが、ネグレクトや躾のつもりというようなものが結構、上位を占めています。それから、妊娠期・周産期の問題で、望まない妊娠や計画していない妊娠が25%位。妊婦健診を全然受けていないという方が、やはり2 割以上いる。当然、妊婦健診を受けていないから、母子手帳も貰っていない場合も2 割ほどということですね。だから、誰にも知られずに自宅で、あるいは公園で産んで、その日のうちに死んだという人が結構いるということです。これは、やはり児童相談所だけではなくて、母子保健や保健師さんの活動や性教育というところから、始めていかなければいけないことではないかと思っています。そういう背景が、児童虐待にはある17 University of NIIGATA PREFECTURE