ブックタイトル平成28年度公開講座記録集

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平成28年度公開講座記録集

平成28年度 新潟県立大学 公開講座 新しいつながりのかたちを求めて質疑応答福本:残りの時間は、議論をフロアに開きたいと思いますので、遠慮なく、どんなことでも結構ですので、感想でも、質問でも、自由にお願いいたします。質問者A:この映画をすごく見たくて、ようやく見ることができました。ありがとうございました。私も日々、ヤギを飼ったり、それこそ自然の中に常に身をおいて、子どもたちと小さな畑をやったり、自分たちが生活に必要とするものを自分たちでつくり上げていくということをやっています。地域の人たちもすごく協力してくれますし、そんな生活を続けていきたい、次の世代にもつなげていきたいと感じていて、この映画を見て、非常に共感しました。『風の波紋』という映画の存在は、夏前から耳にしていました。今日、実際に見させていただいて、私が今やっていることの中の「風の波紋」とはなんだろうと考えました。タイトルがとても深いと思います。見る人それぞれにいろいろな思いがあると思うのですが、小林監督が何年もこの場所を見てこられて、なぜこの映画に「風の波紋」という題名を付けたのか、その思いを聞かせていただけたらうれしです。●小林監督の原風景と「風の波紋」の由来小林:公式発言と、非公式発言に分けてお話ししますね。公式発言から言いますと、私は五十嵐川という川のすぐそばに生まれ育ちました。まだダムもなく、洪水の後には川木を拾って生活するような時代でした。親たちが満州からの引き揚げで、貧しかったと思いますが、すごく豊かな子ども時代であったと思います。そういう中で、私は川がやっぱり大好きなんです。嫌なことがあっても、河原に行って、石を投げたり、川のせせらぎを見たりしていました。それから洪水になると、大人たちがみんな必死になっているのを、わくわくしながら見ていました。そういう中でよく川に向かって石を投げました。投げると、はねた石の回りに波紋ができる。そういうのがすごく好きでした。『風の波紋』の撮影場所は、山ではありますけども、私にはまずそういう原風景がありました。それから、この映画のなかにも出てきますが、冬になるとゴンドラでしか渡れない秋山郷の奥まった所で、長谷川さんという方が民宿を20年ほど経営されています。ぼくが映画をつくるというので、あそこはまず紹介してやろうということで、友達に連れていってもらったのです。そうすると、高波さんという尺八を吹いていた方と長谷川さんで、まさにあの映画のなかのシーンのように、「風が~、風が~、風が吹き~山が哭く~」とはじまりました。私は、それを聞きながら、風もいいなと思って、それでふと「風の波紋」という言葉が浮かびました。私が映画をつくるときはいつも「こういう映画をつくるのでカンパをお願いします」という形で皆さんに呼びかけるんですね。ですから、そのときに、映画には仮のタイトルが必要になります。私は、「風の波紋」をまず仮のタイトルにしようというふうに思いました。そしていざ完成間近となって、配給会社、編集スタッフ、その他とも相談して、ぱっとお客さんの心をつかむようなタイトルを考えなくてはならなくなった。そのとき、いろんなタイトルを考えましたが、やっぱり「風の波紋」がすでに5 、6 年の命を持っていたんですね。ほかの候補は、それに勝てなかった。最後にやっぱり「風の波紋」が残ったわけです。配給側とすれば、一発でお客の心をわしづかみにするようなタイトルが欲しいわけですが、「風の波紋」は、何を言っているかすぐには分からないけれども、この映画を見ると、「生きるってこういうことだよね」とか、そういう感じがあるから、これでいいのではないかということになり、劇場も、配給もOKして、このタイトルが決まりました。●原点としての『風の波紋』小林:もう一つの裏のことを申し上げますと、私はUniversity of NIIGATA PREFECTURE 10