ブックタイトル平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

平成27年度新潟県立大学公開講座「分かち合おう!新潟の魅力」玉川:日本酒の8 割がたは水だから現地で作れば違うお酒になる。燕三条でしかできないこともある。技術を教えて現地でということも考えられるけども、そういう精神性も含めてこの技術を燕三条の地でやっていくことが大事だと思っている。外国人に教えることがあったとしても、玉川堂で働くことを前提としてだ。学生が来て、教えることがあったとしても燕三条をベースでやることを、前提としてやっていく。ウォズキィ:訪問時、非常に興味深く面白いと思ったのが、若い職人さんが結構いらしたこと。伝統工芸は今は跡継ぎがないということで困ってる業界が多い中で、あれだけたくさんの若い方が玉川堂に来られているのは、どういうふうに魅力を伝えているのか。玉川:20から30人ぐらい全国から希望があるが、やっぱりその人たちは「伝承」ではなくて「伝統」の工房だと思っている。技術だけではなく経営も含めていろんな意味でこだわっている中で、技術を守っていく、という意識のある所に人が来ると思っている。だから、そういったところは、経営も技術も含めて一生懸命やっていく。ヘッドランド:海外のものとコラボしたりという話だったが、玉川堂で作品を作るときにどういったところからインスピレーションをもらうのか。何を原点に、物事を決めたり考えたりして作られているのか。玉川:玉川堂の基本的なものづくりのスタンスは機能性を高めること。コーヒーポットであれば、コーヒーが注ぎやすいとか、液垂れしないとか。そういう機能性を突き詰めていけばいくほど、デザインが成り立っていく。だから、卓上で一気にデザインを描くのではない。コーヒーを熟知した上で、コーヒーのポットを作る。機能性を考えていくと、必然的に美しいデザインが生まれる。花瓶も、お花を生かす、美しく生けるという機能性を突き詰めるほど、形が生まれてくる。これが本来のデザインだと思う。ウォズキィ:質問というより感想。実際に、工場に行って感動したのは、値段は高いけれども実用性がないもの、芸術品であって使えないものも世界中によく見かけるが、玉川堂さんでは、例えば、お茶のポットが、本当に火にかけられていたり実際に使われている。実際に目にして、すごく実用的なものなんだ、ちゃんと使えるんだということに対しても、すごく感動した。玉川:我々が目指すところは、アートではない。日常生活道具だと思う。日常生活道具の世界の最高峰を目指していこうと思う。世界一機能性の高い、機能とデザインのバランスを整えた、昔で言うところの用と美。そういった道具が、一生使う道具だと思う。先ほど命という言葉を使った。使えば使うほど、銅器の命が深まっていく。光沢が出てくる。ただ、それは使い勝手が良くないと、毎日使う道具にはなれないので、やはり機能性をもつということが大事。ヘッドランド:今、明確にお答えいただいたが、最近の経済の問題に、安く買ってすぐに捨ててしまう、そしてまたどんどん買うという現象が起きてると思う。玉川堂さんの、いいものにきちんとお金をかけるということが、長い目でみたときに環境を変えていく、世界の感覚を変えていくことができるきっかけになるのではと思うがどうか。玉川:これは本当に、日本の工芸品全部に言えること。長く使うことによって、本当に自分の人生を豊かにしていく、生活を豊かにしていくというのが、日本の工芸品の本来のあり方。そういう意味では、最近、使い捨ての文化になっているが、本来の日本の文化ではない。いいものを一生使っていくという日本の文化を伝えていかなければいけないと思う。だから、我々の世代が、そういう道具を使うことがまず大事であって、それはただ言葉ではなくて、一ついいものを持ってちゃんと実感を込めて伝えることが、大事だと思う。だからぜひ、銅器や伝統工芸品を日常生活の中で使ってほしいと思う。デュケット:私たちは日本酒の文化を世界に発信している。先ほど玉川堂さんの酒器で飲むと、お酒もまろやかになっておいしくなるというお話をお伺いしたが、ここにいらっしゃる皆さんも含めて、コラボできることがあるか。玉川:我々銅器関係にとってみれば、日本酒がなければ銅器を売る意味はない。日本酒業界にとってみれば、器がなければ商売にならない。だからそういった意味では、新潟県の文化として、日本酒と伝統工芸業界は、もう少し結びつき合って発信できるような場がもっとあればいいと思う。デュケット:言語や文化の違いで、伝えることが難しいことはあるか。例えば、職人さんが皆さん英語University of NIIGATA PREFECTURE 22