ブックタイトル平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

平成27年度新潟県立大学公開講座「分かち合おう!新潟の魅力」技術と文化レベルの高さに皆が驚きました。江戸デザインは、今、様々な業界が見つめ直し生かす時代と思って、私も今、江戸デザインをあらためて勉強し直し、それを商品開発へ取り入れていくようにしています。この画像をごらんください。ルイ・ヴィトンの鞄のモノグラムは有名ですよね。元は横木瓜という玉川家の家紋をアレンジしたものであり、横木瓜は新潟県の10パーセントくらいのシェアを占めています。ひし形のマークは、島津家の家紋をアレンジしたものです。また、輪違いという家紋をアレンジしたのがシャネルのロゴマークです。家紋は室町時代からの流れですので、全てが全て江戸時代というわけではないですが、この家紋を含めて、江戸で生まれたデザインが、ヨーロッパの文化人に対して与えた影響は絶大です。もう一度、このデザインの原点に返って、日本人が一番美しいデザインを開発した江戸デザインを、しっかり見つめながら、ものづくりに生かしていきたいものです。●ネオジャポニズムと商品開発150年前にヨーロッパで日本製品が大ブームになったジャポニズムのように、真に美しいものは、時代や国境を越えて普遍性があると思っています。燕三条として、新潟として、さらには日本として、様々な業界と連携しながら海外へアピールし、日本製品をあらためて世界中の方々から愛用していただきたいと思っています。私は新しいジャポニズムを興したいと思っており、これを私は、ネオジャポニズムと言っています。ネオは新しいという意味です。今、江戸のデザインを再び見直し、そこから様々なデザインにフィードバックし、日本の技術を生かした商品を海外へ輸出していくことです。海外で成功するためには、海外の文化に合わせた商品開発ではなく、我々が培った日本の文化や日本の技術というものを、しっかりと伝えていくことが大事で、日本のものは日本のまま、ありのままをつたえていくことが重要で、これが、ネオジャポニズムに繋がっていくと思っています。●伝承と伝統最後になりますが、私は、伝承と伝統という言葉は全く別ものと思っています。伝承というのは技術を受け継いで同じことを繰り返すことであり、伝統は技術を受け継いで革新を連続させることです。伝統工芸業界は220前後の産地が全国に存在しますが、京都がナンバー1 で17産地、新潟が16産地ですので、伝統工芸の数でいうと全国で2 番目に多い県です。それだけ職人が多い県ですが、しかしながら、果たしてすべての産地が伝統と言えるかというと疑問で、伝承のところがほとんどです。日本の伝統工芸は、伝統と言えるところは少なく、伝承工芸になっていると思っています。日々の仕事を淡々とこなすだけ、技術をただ受け継いで1 日8 時間、同じ技術でただ作っているというのは伝承であり、伝統ではありません。伝統とは、技術を受け継ぎながらも、日々革新を続けることです。新しい事業を次々に展開し、お客さまに新しい文化の提案とサプライズを続けて発信していくことが、本当の意味での伝統です。伝統とは革新の連続です。玉川堂は「伝承工芸」ではなく、「伝統工芸」でありたいと思っています。玉川堂は、来年200周年を迎えます。それに向けて、次の100年を見据え、日々革新を続ける企業でありたいと思っています。University of NIIGATA PREFECTURE 20