ブックタイトル平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

第2回公開講座 伝統の技術が拓く世界への道し、海外での学びや気づきを地域へ還元したいと思っています。玉川堂の海外展開市場としては、ニューヨーク、モスクワ、アジア、ヨーロッパが中心です。この中で最も可能性があるのはモスクワですね。モスクワは日本ブームです。経済が急成長して、今は停滞状態ですが、親日家がすごく多いですね。私が懇意にしている大企業の社長さんも今、モスクワで積極的に海外展開を進めていますが、70店舗を100店舗に増加させるくらいの勢いです。このモスクワには富裕層が多く、その数はニューヨークをも上回り、かつ親日家が多い。よってモスクワは、今後日本の地場産業が特に注目すべき地域だと思っています。次に、アジアです。中国、韓国、香港などと取引がありますが、特に中国の存在は絶大です。中国はお茶が盛んで玉川堂では茶器に人気が集中しますが、中国人の99パーセントは男性がお茶を入れて、お茶を飲みます。日本人はどちらかというと女性がお茶を入れる傾向がありますが、中国人は逆です。中国人の女性は、殆どお茶を飲まないそうです。男性の性として、道具にこだわります。そのため、日本の伝統工芸の茶器に需要が高まっています。今、玉川堂の青山店や燕本店でも、中国人のお客様によるいわゆる爆買いがよく見受けられます。爆買いに関しては転売の可能性があり、転売をする方には一切売らないスタンスを取っています。あくまで自分でご愛用していただける方に、銅器をお渡ししています。ヨーロッパに関しては、ビジネスの難しい土地柄です。日本の地場産業でヨーロッパで成功した企業は聞いたことがありません。玉川堂も十数年前から毎年ヨーロッパの見本市に出展していますが、結局オファーがあるのはモスクワとかアジアが中心になっています。ヨーロッパの国は比較的バカンスや食にお金を使っても、伝統工芸品にはなかなかお金を使わない傾向にあると感じています。ただ、良い取引先にまだ出会ってないということもありますので、これからもパリを中心にヨーロッパ各地での営業展開を続けていきます。●海外展開毎年1 回、ニューヨークのギャラリーで、玉川堂のイベントを行っています。モスクワでは、3 年前にパリの見本市で知り合った会社「BORK」と言うロシアの最高級家電の会社と取引をしています。最初に取引のお話を頂いた時には、高級家電の会社と聞いてちょっと違うなと思っていましたけれど、社長とお話しているうちに、銀メッキや金メッキなどの最高級の家電を日本円で30万とか40万円で自社にて製造販売しており、「BORK ART」という新しい事業を展開し、玉川堂を中心とした日本の伝統工芸品をロシアの富裕層へ紹介したいとのことで、取引が始まりました。たくさんの富裕層の方々をご紹介いただき、ロシア国内に玉川堂製品が広まりつつあります。中国からは、月に数回は取引依頼がありますが、上海と北京に店舗を構える「煙波」という高級小売店しか取引していません。「煙波」は玉川堂ルームを作り、玉川堂製品しか置いてない部屋で鎚起銅器を紹介しています。また、パリでは「ルピシア」との取引があります。日本で120~130カ所、新潟では三越さんなどに入っていますが、パリの一等地サンジェルマン・デ・プレにお店を構えています。そこで日本茶を販売し、日本の伝統工芸品を置いてあるスペースに玉川堂の鎚起銅器を置いています。「ルピシア」と玉川堂のコラボレーション銅器もあり、それはお店で一番目立つ場所に展示販売されています。最近、パリで日本茶ブームになってきていますが、その火付け役になっているのが「ルピシア」です。店内の6 ~ 7 割ぐらいは日本茶で、他は中国茶と紅茶などです。7 ~ 8 割ほどが紅茶やハーブティーという日本の店舗とは逆の商品構成ですが、パリではこの日本茶の人気が高く、よく売れているとのことです。パリで日本茶に合った玉川堂の茶器を紹介するには、最高の場所だと思っています。●日本の伝統の理解と商品開発江戸時代、約260年間の鎖国状態の中、世界市場まれに見る美しいデザインが誕生しました。玉川堂の商品も、江戸デザインを参考にしながら商品開発に生かすこともあります。ルイ・ヴィトンのロゴマークは、家紋をアレンジしたものです。ゴッホが描いた浮世絵もあり、世界中のインテリアで市松模様が生かされています。それらは江戸時代に生まれたデザインで、その他、多数の優れたデザインが江戸時代に生まれています。鎖国状態が終わり、明治時代、日本が海外博覧会に出展し、日本の技術や文化がヨーロッパと全米に広がって行く中で、日本の19 University of NIIGATA PREFECTURE