ブックタイトル平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

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平成27年度公開講座記録集

平成27年度新潟県立大学公開講座「分かち合おう!新潟の魅力」し、直接褒められることは職人冥利に尽きますし、もっとこうしてほしいとか、ここが駄目だとか、欠点もご指摘頂くことで商品改善にもつながり、燕三条の製品はよりレベルアップしていきます。燕三条だけではなく、この近辺には弥彦や岩室、さらに湯田上温泉などもあります。燕三条の工場見学から温泉へのお客様の流れを作る事ができれば、広域連携に繋がります。「ものづくりの街・燕三条」だけでなく、「おもてなしの街・燕三条」を実現したいですね。それを実践している世界的成功事例として、フランスのシャンパーニュ地方があります。パリから特急で45分と便が良く、風光明媚でブドウ畑がずっと広がっています。先ほどのルイ・ヴィトングループ、クリュッグのボトル(シャンパン)クーラーの記者会見は、2011年11月にクリュッグの六代目がわざわざ来日され、燕の本社で行いました。翌年の春、シャンパーニュに招待されました。延々に広がるブドウ畑は、シャンパーニュの方から見れば当たり前の光景なのでしょうけれど、我々燕三条人からすると本当にすばらしい風景でした。逆に、クリュッグ六代目は燕三条の工場街並み、そして玉川堂の工場は美しい光景に見えるとおっしゃっていました。当たり前と思う光景は、他の地域の方々からみればとても新鮮に映るということは、世界中、どこでも言えると思います。特に作業現場をお見せすることはとても重要なことで、世界中の人が見れば「燕三条の工場では、これだけの手間をかけて作っているのか」と、やっぱり感動すると思います。私もクリュッグ六代目からシャンパーニュに招待され、ブドウ畑や工場を案内頂き、クリュッグの一番高い50万円のシャンパンもテイスティングしました。作業現場で、何故これが高価であるかの説明があり、構造原理としてよく分かったのです。クリュッグへ行き、地域ブランドの在り方を直にこの目と肌で感じられたことは、私にとって大変大きな財産となりました。シャンパーニュ地域のスパークリングワインは世界最高品質として知られていますが、世界一厳しい品質基準を持つシャンパーニュ地域で作られたスパークリングワインだけが、シャンパンと名のることが出来ます。ボルドーやブルゴーニュでもスパークリングワインを作る所はありますが、シャンパンとは名乗れません。シャンパーニュ地方以外で作られたスパークリングワインは「ヴァンムスー」と言い、イタリアは「スプマンテ」、ドイツは「ゼクト」と言います。その地域の最高級のものより、シャンパーニュで最も安価なシャンパンの方が飲み比べてもおいしく、それだけ品質の高いものを作る基準を持ち、低品質の物は作らないというのがシャンパーニュのこだわりです。フランスはワインを観光資源とし、国際産業観光都市としても賑わっています。ボルドーやブルゴーニュ地方も農作地帯でありながらホテルやレストランが充実しており、世界中から来たお客さまをワイナリーで宿泊させ、自社のレストランで食事を提供している。ものづくりだけでなく、おもてなしもできる文化なのです。また、地域のキーパーソンによる巧みなブランド戦略で、積極的にブランドの専門家を招聘しています。例えばシャンパンのボトルやラベルを見てもそれはよく分かりますが、デザインが美しいです。日本酒や焼酎のラベルは、全体的に画一的で魅力に乏しいデザインが多数ですが、積極的にデザイナーを登用させ、世界の人々からまずはラベルから目を引くことができるといいですね。全体的なブランディングに関しては、特にシャンパーニュがうまくやっています。シャンパーニュでは、エペルネ市がパリを超えて年収トップです。ブランディングに長けた地域で、シャンパンを作っている生産者が一番良い給料をもらっており、地域ブランドの世界的成功事例と言えるでしょう。日本の地場産業は、シャンパーニュ地方のブランディングを参考にしたいものです。●燕三条地域と玉川堂の経営戦略燕三条は全国的にみても経営者の多い街です。様々な経営者とお付き合いがありますが、その中で感じたことは、発想力は移動距離に比例するということです。中でも海外出張の多い経営者ほど、経営戦略に富んでいます。燕三条地域は、海外戦略が非常に巧妙で、圧倒的なスピードで進んでいる地域だと思っています。私が社長になったのが12年前、2003年ですが、その前から燕三条地域は、大会社ではなくてもどんどん海外進出をする会社が多い。そのような会社の社長と話をすると、「海外出張の多い経営者ほど経営戦略に富んでいる」─発想力は移動距離に比例し、それが経営戦略にも活かされる─私が燕三条で事業を営んで最も強く感じたことが、これなんです。私も海外に頻繁に行くので、移動した分、会社事業に生かしていきたいと思っていますUniversity of NIIGATA PREFECTURE 18