ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

第1回公開講座 佐渡の酒と水─日本酒のテロワール─本日はお忙しい中お越しいただいてありがとうございます。今日は「水─この不可思議なもの」という題で、私ども一般財団法人新潟県環境衛生研究所が行った県内の湧水調査のなかで色々感じてきたこと・考えたことをお話していこうと思っております。私は昭和48年に新潟県庁に入庁しました。主な仕事は環境行政で、他には防災やエネルギーなどを担当してきました。なかでも環境行政には約27年従事しました。その間、縁があって環境省に3 年間出向し、「悪臭防止法」という法律の中で、臭いの測定をする資格として臭気判定士を位置づけるという業務を担当していました。平成21年3 月に退職し、今の財団法人に移りました。その後6 年間、県内の湧水調査をやってまいりました。そんな経験を踏まえてお話していきたいと思います。湧水との最初の出会いは、県庁時代に遡ります。昭和60年に当時の環境庁が行った「昭和の名水百選」の新潟県分の推薦作業を、県庁の環境対策課(旧公害規制課)に在籍していた私が担当しました。30歳前後の時です。その後、平成20年には環境対策課長として「平成の名水百選」に関わりました。水と関係する仕事を随分してきたと思います。●湧水調査の意義先ほど申し上げたように、平成21年に現在の研究所に移りました。財団法人というのはいわゆる公益事業を行います。つまり社会の皆様に利益を還元することが一つの役割です。そのときに私は、県内での湧水調査を提案致しました。その契機になったのが平成19年7 月の新潟県中越沖地震です。その時に柏崎の水道は約20日間断水しました。柏崎には比較的有名な湧水「治三郎の清水」があり、50トン/日ぐらい出ております。道路のすぐ脇にあって非常に汲みやすいということで、断水している間、地元の方はここにポリタンクを持って水を汲みに行っていました。約100mの車列ができ非常に賑わったそうです。このように湧水というのは、緊急時の水源として使えます。それから京都の名水のように観光資源としても使えます。そもそも私は環境アセスメントにも関わっておりましたので、環境保全という意味では、湧水が出てくるような環境は非常にいい環境、という認識がありました。こうしたことから財団としてこの調査をやってはどうかと提案した次第です。さて、湧水調査をやる意義とはなんでしょう。水道の水質基準というのは50項目について理化学的検査をして、飲んでよいかどうか調べます。例えば一般細菌などは煮沸すればある程度は死にます。ところが重金属が含まれるかどうかというのは検査をしないと分からない。そういう意味で検査を行って、理化学的に安定した水であることを明らかにして、皆様にデータを提供すること。これは非常に意義があることです。その最初の調査を平成21?22年の間、柏崎で行いました。そして、その調査結果(20湧水)について取りまとめ、24年に「柏崎の湧き水」という百数十ページの小冊子に取りまとめ無償配布(300部)いたしました。●佐渡の湧水調査その次の調査では離島を取り上げることになりました。陸続きではないので他市町村からの給水車の支援等が遅れる可能性があり、緊急時の水源という意味でも調べておく必要があると考えたからです。そこで佐渡の湧水調査を始めました。佐渡にはよく知られた湧水が10箇所ほどあります。最初の年はその10箇所を調査しながら、区長の方々に付近の湧水についてアンケート調査を行いました。すると合計で97箇所出てきました。そこでこの中から33箇所の湧水を選び現在まで4 年かけて調査しています。佐渡は今、世界ジオパークの認定申請をしようとしています。そこで10箇所のジオサイト毎に地下水を調査しようと決めました。なぜジオサイトと地下第1回公開講座佐渡の酒と水─日本酒のテロワール─第1部「水─この不可思議なもの」〈一財〉新潟県環境衛生研究所管理部特別参与 髙橋 達男3 University of NIIGATA PREFECTURE