ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

第3回公開講座 頑張る農家のお母さん─郷土料理を通した津南と新潟の交流─【事例報告2】:農家レストランごっつお市代表 富沢 春江皆さん、こんにちは。津南町の農家レストラン「ごっつお市」の代表富沢春江と申します。今日はこのように学生さんはじめ、多くの方々の前でお話をする機会をいただき、ほんとうにありがたく、感謝しております。今日、12月7 日は大雪、冬本番に入りますね。そして、明日は事納めです。また、針供養の日でもありますね。みなさんのお宅では、どんなかたちで12月を迎えますか?私たちの暮らす津南の地は、秋始末を終えると冬支度をして降雪に備えて様々な準備をします。家や作業小屋、樹木、植木など、すべて3 メートルの雪に押しつぶされないよう、雪囲いをして守るのです。このように毎年積もる雪を受け入れつつも、先人たちの知恵と工夫によって私たちは生かされております。それでは、レストランごっつお市について、おおまかに4 つの視点からお話しさせていただきたいと思います。● ごっつお市の「現在までの道のり」と「『ならでは』の取組」津南は、日本一の豪雪地などとも言われますが、その雪のおかげで、きれいでおいしい農産物が作られています。それは、豊富な湧水、雪で覆われた肥沃な大地、また気象条件、特に秋口の寒暖差は農産物をよりおいしくしてくれます。雪解けとともにいっせいに芽吹く山菜は、柔らかく優しく、まさに美味です。野菜、魚沼コシヒカリもこの雪と地形、気象条件の恩恵を受け作られています。ですが、まだまだ津南産の野菜を知っている人は少ない状況です。また、それを「津南産」だよ、と銘打って販売しているところも少なかったのですが、「もっと多くの方に知ってもらいたい」とずっと思っていました。そこで平成17年、直売所を開設致しました。また、町内の各家庭の食生活を見たり聞いたりすると、自分でもそうですけども、核家族化となっていますし、社会環境の急速な変化により、いわゆる即席惣菜や加工品が増え、手がかかる伝統料理や野菜料理が少なくなっているんですね。いわゆる「生産と消費の隔たり」というものでしょうか。高齢や病気で、自分で料理ができなくなり食べたい料理が食べられなくなったお年寄りのかたや、大事な次の世代の子どもたち、孫たちに、地元の旬な食材を用いた添加物の少ない、身体に優しい料理を食べてもらいたい。また、それを昔から作られていたかたちで伝えていかなければいけない、と痛感してまいりました。地域の歩んできた歴史文化の中に活かされた日常生活、その中で生まれた知恵と工夫、そういった丹念に紡いできたものを伝えたいと強く思うようになっていました。「プロ」ではないんですけれど、「おかあさんの味、家庭料理の味を誰でもがいつでも食べられるようにしてあげたい」と思うようになっておりました。そして、平成22年、女性だけで、県や町の補助金を受け惣菜屋さんを始めることとなりました。私たちのモットーとする健康に良い「減塩」、または、化学調味料もできるだけ使わない料理ということで最初に提供した料理に対して、その反応は、「まずい」でした。高齢のかたは、塩味の濃い料理になれていますし、また、若い人が好む市販されている物も、けっこう味が濃く、化学調味料を主体に使っている物がほとんどで、それに少なからず味覚が慣らされているものではないかと思いました。いくら身体に良いと言っても、食べてもらえなければ、なにもなりませんし、話にもなりません。それから、皆で悩みながら幾度となく試行錯誤、味付けを変えたり、いろいろ努力しまして、今ではなんとかみなさんから満足していただいているのかな、というところに落ち着いてまいりました。この惣菜は、地元農協のスーパーとか直接お客さんに買っていただいています。今も継続し販売しています。それから、2 年後には、「農家レストラン」を始めました。地元の食材にこだわって、できるものをメニューに、と決めました。料理は限られるんですけども、ただ、町内の方に食べていただくことはもちろん観光で津南に来てくれた方、町外の方に食べていただいて、おいしいなと思ったら、その野菜や山菜を買って帰ってもらえたらありがたいなと思ったからです。そういうわけで、朝、山で採った山菜、自家用に栽培した野菜を持ち寄って販売したり、レストランや、野菜たっぷりのお弁当に使ったりしています。41 University of NIIGATA PREFECTURE