ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

平成26年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」「お母さん」訪問記角張 慶子食べるのは大好きだし、美味しいものはもっと好きである。しかし、学問的にいうならば、私は食に関して全くの素人である。だから、今回「食の風景」の企画に携わるとなったとき、正直、大丈夫だろうか、と思ったものである。しかし、実際に津南や新潟のお母さん方にお会いして、この公開講座を通して皆さんにお届けするのは「食」の話だけではない…と確信した。私が専門としているのは「発達心理学」という学問である。これは、人が生まれてから死ぬまでの生涯を対象とした学問である。人がその生涯の中でどのような「人生の軌跡」を描いていくのか、そのようなことも研究対象となる。津南にて新潟にてお聞きしたのは、まさに一人一人の「農家のお母さん」としての人生の軌跡の一部であった。いずれも素敵な物語に、お話をうかがいながらワクワクしたものである。そして、どなたにお会いしてもニコニコでパワフル!! かつユーモアたっぷり。お話をうかがっているとこちらも自然に元気になっていく、いずれもそんな訪問であった。さて、早速、そのお母さんの訪問記である。お聞きした楽しいお話の内容はそのまま講座に活かされていたので、そちらは当日の記録に譲る。初めにお会いしたのは「津南マミーズ」のお母さんたち。ここでの記憶は「トウモロコシ」の甘い香りとともにスタートする。私たちに「食べさせたい」と朝早くから用意してくださったものである。「トウモロコシ(鬼もろこし)」をいただきながら、ニコニコと語るお母さんのお話をお聞きした。次に、その足でお昼をいただくために「農家レストランごっつお市」へ向かった。お料理が出てくるまで、直売の野菜を眺めるのも楽しい時間。どれもこれも魅力的。袋いっぱいに詰められたなめこを購入する。お昼にいただいた「精進料理」の定食は目にも美しいし、お母さんたちのお話は子どもや家族を思う愛情たっぷりである。新潟の愛菜亭のお母さん方には、後日、やはり愛菜亭のランチをいただきお会いした。当日の野菜たっぷりのランチメインメニューは「丸ごと玉ねぎのスープ煮肉みそがけ」。丸ごとの玉ねぎが愛らしく見える。家でもできそうだが、丸ごと使うのは思いつかなかったので感激しながらいただく。メンバーのお母さんたちのエプロンとバンダナ(三角巾)の「赤」はそのまま元気なお母さんたちのイメージと重なった。こう書いていくと、なんだこの回の担当者は美味しいものを食べて楽しいおしゃべりを聞いているばかりではないか、とお思いになるかもしれない。実はそのとおり。この企画は、この何とも幸せな「お母さん訪問」が成立の鍵であったように思う。このパワーと暖かさが、当日の参加者に何らかの形で伝わっていたなら担当者として幸いである。最後に。「とうもろこし」の甘い香りとともにスタートした私の「お母さん訪問記」は、「おにぎり」の香りで閉じる。講座当日、司会進行役であった私は、当然緊張しているし時間的な余裕もない、ということで、昼食を省略するつもりでいた(食の講座なのにダメですね!)。時間が限られているのは試食準備をしてくださったお母さん方も同じ。ところが、である。試食の設営を終えた愛菜亭のお母さん方は、今度は皆で持参した温かいご飯でおにぎりをぽんぽんと握り始めたのである。自分たちの分のみならず、脇にいた大学のメンバーにまで。ごまの「きりあえ」(新潟の郷土料理)が入って、程よく塩加減のきいたその真っ白なおにぎり。これが本当に美味しかった!あまり私が美味しいと言うものだから「あら、いつも美味しいもの食べてないんじゃないの?(笑)」なんてお母さんに冗談を言われる始末。ここに、短時間であっても「食」を大切にし、美味しいものをさっと作る「お母さん」の力強い姿を垣間見て、各地でお母さんたちの「ごっつお(お料理)」が愛されている理由がよく分かった気がした。さあ、皆さんも、元気なお母さんの手づくりのお料理を食べに、津南へ、新潟の農家レストランへお出かけしてみてはいかがでしょう。お腹だけではなく、きっと、心もいっぱいになること間違いなしである。University of NIIGATA PREFECTURE 38