ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

ページ
20/64

このページは 平成26年度公開講座記録集 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

平成26年度公開講座記録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

平成26年度公開講座記録集

平成26年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」しずつ栽培面積を拡げています。そうして今、新潟を代表する果実になったということです。もともとこれは、フランスから明治に一番最初に旧白根市に来たわけで、ここは西洋梨ルレクチェの発祥の地なんです。すでに導入されてから百十数年経ちますが、安定的に栽培されたのはこの2 ?30年だと、私は思っています。試験研究機関とか行政の後押しもあったのですが、私はルレクチェが、なぜこの地域に根付いてこれまで発展したのかというと、一つは梨に関する栽培技術の蓄積があった。それから自然条件ですね。比較的温暖で、水利条件等も恵まれていた。それから、最後の要素は、私は新潟の県民性だと思っています。新潟の県民性はなかなか粘り強く諦めないというふうに評価されてますが、原産地のフランスでは、すでにもう1947年ごろにこのルレクチェの経済栽培は廃れているということなんです。栽培が難しい作物ですので、簡単に諦めたんだろうと思っております。そういうことで、新潟の県民性が根付かせた大きな原因ではないかと思っております。●南区における観光農園の特徴と発展次に南区における観光農園の特徴と発展についてちょっと触れたいと思います。今日は、観光農園の方もいらっしゃいますが、南区では大凧合戦と並ぶ観光資源になっているのが観光農園です。それから、最近になりまして農家の6 次産業化が強く叫ばれていますが、南区ではすでに先を見通した農家がいたということです。果樹畑については、何もしていなければただの果樹畑なんですが、それを観光農園に変えたという非常に優れた発想があったと思っております。更には、果実の加工販売、ジャムとか缶詰、ワイナリー、或いは産地直売によるルートの拡大なども行っている農家がいます。果樹の専作経営についてですが、果樹は労働集約型の作物で、規格化になじまない緻密な管理を必要とする産業ですので、栽培面積を拡大すれば専門に取り組まなければならないということです。総合的に事業を行っている観光農園では、単なる果実の摘み取りだけでなく、そこでお茶を飲むとか食事を提供するとか、宴会場のスペースを確保する、さらに産地直売を実践しております。ということで、農場で採れた果実を加工して販売もしております。更には、農業体験も取り入れるということで、他の地域に先駆けていわゆる企業化を進めてきた経緯もあると思っています。それからもう一つ、果実の通年栽培についてです。この地域における観光農園というのは落葉果樹が代表的なもので、桃、葡萄、梨、西洋梨の4 種が代表的な落葉果樹になりますが、そのほかに冬季間のいちごとか、あるいは隙間を埋めるようにいちじくとか、キウイフルーツとか、ブルーベリー、こんなものを取り入れて通年的に果実の摘み取りができるように工夫しているのが大きな特徴ではないかと思っています。それから、雨天の場合でも果実の摘み取りや観光を楽しめるように全天候型のハウスで栽培しているということです。●果樹栽培の現状と課題次に果樹栽培の現状と問題点についてちょっと触れたいと思います。一つ大きな問題点として果樹栽培者の高齢化があると思います。これは、果樹農業に限らず、農業全般にいえることですが、基幹的農業従事者の年齢構成というのは、65歳以上の占める割合が全国平均で、稲作が74%、次に高齢化が進んでいるのは果樹部門だそうです。基幹的農業従事者ではなく農業従事者の平均年齢ですが、新潟県の場合66.4歳です。そういうことで、この地域の果樹農業を押し上げた一番大きなインパクトの減反が始まってすでに40年経つわけですが、その時に非常に意気込んで、稲作転換作物として果樹部門を拡大した当時の、例えば40歳の担い手の方が今は80歳になってるわけで、後継者がいなければ、かなり厳しい状況になっていると私は思っております。次に問題になるのが、廃園が進んでいるということです。一挙に廃園が進むということではなくて、これは栽培面積の縮小という結果もあるわけですが、その背景にあるのは、何といっても栽培従事者の高齢化があると思っています。それから果樹農業は家族経営が基本ですので、後を継ぐ方がいなければ、水田のように簡単に貸し借りが進まないというのが現状だと思っております。そういうことで、借手がなければ廃園せざるをえないというような状況です。私の住んでいる付近でも、色んな事情でやめたいという方がいても、なかなか買い手が見つからないと、ついには立派な木を切らざるをえないという悲しい場面に時々遭遇しております。豊凶による価格の変動が所得に大きく影響するということも大きな問題です。豊作貧乏のような状況University of NIIGATA PREFECTURE 18