ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

平成26年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」年以上前に、佐渡島内の市町村が合併するということで、小学校の統廃合が盛んに言われるようになりました。たまたまそうした統廃合に関係する委員会の委員をしていたものですから、佐渡島内の小中学校すべてを回る機会がありました。そのとき、こんな素敵な小学校がなくなってしまう、消えるのは残念だというふうに思った次第です。そしてここで何ができるか考えまして、私たちは酒屋ですから酒を造ることしかできないということで、ここを蔵として使ってみることにしました。実際にこの夏改装しまして、酒造りを始めています。ここでのお酒の仕込みは、もともとの理科室と理科準備室の2 箇所に仕込み部屋というか仕込み蔵というか、小さな部屋を作りました。その隣の教室の中を冷蔵庫という形にして、麹室に変えています。実際にはこのわずかな部分だけを使用するだけで、残りの教室は全部そのままです。今年は初年度ということで、お酒2 本だけ仕込みました。総米600キロ仕込みの規模です。私たちがもともとの蔵で仕込む際は1,500キロの仕込みとなりますので、600キロ仕込みは半分以下というような小さな仕込みです。将来的には、年間を通じて酒を造っていきたいと思っています。ただ、施設が小さいものですから、ここでは週に1 本だけ仕込むような形で、月に最大4 本ぐらい、四季醸造で頑張って作っても40本程度の仕込みが限界です。マイクロブリュアリーのモデルとして、実際に海外から視察に来たいという方もいらっしゃいます。四季醸造にすることによって、できたばかりのものを売るとか、色々なやり方があると思っています。特徴は、今までお話した小さく造ることと、これからお話しする極めてベーシックな作り方をすることです。例えば、普通の甑を使い、槽しぼりという昔ながらの手法で搾っているので、手間は大変かかります。しかし、ここの一つの機能として学びの場にしていきたいということがあるので、昔ながらの造り方をしています。今年は2 本だけ初めて造ったということもあり、私たちの蔵の中で酒造りをしたことなかった女性たちに入ってもらい、その体験をしてもらいました。当社専務の尾畑とか、営業の女性とか、事務の女性が初めてここで酒造りの体験をしたということです。来年以降の話としては、私たちが自社の蔵で酒を造っている時期、つまり10月からせいぜい4 月ぐらいまでの裏返しとして、5 月から8 月にかけて酒造りを行うつもりでおります。その中に、例えばお酒の販売に携わっている方々のみならず、一般の方、学生さん、場合によってはリタイアされた方のお酒の好きな方々など、広く生徒の方を募集して、国酒の啓蒙やファン作りを広げていきたいと考えております。基本的には製麹から三段仕込みを行うというところで、約1 週間かかります。そこの部分をしっかりと学んでいただくことによって、日本酒に関しての知識をしっかり身につけていただければと考えております。海外からの見学の方々も受け付けていきたいです。これからの日本酒の市場では海外への展開も大事になってまいりますので、海外の方々に、しっかりとしたお酒の知識というものを学んで帰っていただけたらと考えております。更に言えば、単に来てお酒だけ学んで帰っていただくということではなく、約1 週間と長く滞在していただくことによって、佐渡という地域に対する経済効果とか地域づくりに対して積極的に関わっていきたいとも考えています。一回の酒造りに来ていただけるのは、いいところ5 人とか6 人とか、極めて少ない人数だというふうには思っています。とはいえ、1 週間滞在していただくということになれば、最低でも3 食× 7 日=21食、佐渡でご飯を食べるわけですから、佐渡の食品に触れていただくことで佐渡の食品に興味が湧いたりとか、ファンになったりする方が出てくるかと思います。また、年がら年中、朝から晩まで酒を造っているわけではないので、空いた時間を使ってしっかりと佐渡を見ていただき、佐渡のファン作りと酒のファン作りと同時に行っていきたいというのが、このプロジェクトを始めた大きな理由の一つです。今回のプロジェクトとテロワールが最もかかわりのある部分は、ここの施設に関しては特に、オール佐渡産にこだわる点です。今年2 本仕込んだお酒は、越淡麗というお米、先ほど申し上げた朱鷺と暮らす郷作りの認証米を使って精米歩合60%で仕込んだ純米酒です。ただ、国税との関係で免許の問題があって、この施設は清酒の免許が取れていないのです。60キロリットル以上作らないと清酒免許は無理ということで、現状ではリキュールの免許になります。そこで、できた純米酒に杉材を少し浸けて、樽酒のようなテイストを出しています。樽で日本酒を造ると日本酒ですが、タンクの中に樽の素材を入れUniversity of NIIGATA PREFECTURE 12