ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

第1回公開講座 佐渡の酒と水─日本酒のテロワール─き物と一緒に暮らしていけるような栽培方法を取っているところが評価されて、世界農業遺産に認定されたと聞いています。ここから、私たちの酒造りに沿って、ご説明していきます。既にお話ししたとおり、私たちは四宝和醸という考え方を重視しながら酒造りを行っています。私たちにおけるテロワールのうち、環境面に関係した部分から申し上げれば、酒造りは10月半ばから始まります。仕込み期間中は泊り込みで仕込みます。早朝に、要は気温が低いうちから仕込むことを今でも続けています。米の蒸しあがりは大体8 時前ぐらいですから、早出の人たちが5 時ぐらいに来て作業を始めています。仕込みは今、工藤という若い杜氏が担当していますが、前任者はたいへん厳しい方で、温度が低い早朝に仕込むのが当たり前でした。それがそのまま今に引き継がれているということのようです。それがどれくらい有利になるかは、学術的には判断しにくいかもしれませんが、気持ちの部分ではどうでしょうか。今は空調によってある程度の環境は作り出せますが、人工的なものには頼らず、なるべく低い温度の時間帯にやるべきことを実践しています。米という点では、環境にやさしい米をなるべく使う方針です。まだ全面的にではありませんが、佐渡の新穂にある相田ライスファーミングさんで、概ね5 割減の減農薬・減化学肥料栽培の酒米を作っていただいています。こちらの圃場は「朱鷺と暮らす郷づくり」認証米制度というものに則って作っている酒米です。酒米に関しては、コシヒカリのように長年にわたって作っている品種ではないので、減化学肥料とか、減農薬栽培というのが意外と難しいようです。これからも研究を進めながら、少しずつ目指す方向に向かっていけたらと思っております。水という点では、私たちの酒蔵は小佐渡山脈の麓、かなり下のほうにあるのですが、車で5 分ぐらい上がっただけで山の中です。佐渡は比較的、特に真野の辺りは降雪も少ないのですが、山に少し上がると、やはり相当な雪が積もります。こうした雪解け水が、私たちの酒蔵のある真野新町では、軟水の水として出てきています。認証米を使ったお酒で、佐渡がどういうところかを、商品としてもアピールしていきたいと思っています。佐渡は環境にやさしい島だということを、酒からPR出来ればという思いです。●学校蔵プロジェクト以降は、私たちの学校蔵プロジェクトについてご説明いたします。このプロジェクトの大きな目的の一つである佐渡へのこだわりを感じていただければ、と思っています。佐渡に行ったことがある方なら同意いただけると思いますが、とても広いです。今約6 万人の方が住んでおります。ただ、ご多聞に漏れず過疎化が進んでおりまして、年約1,200人が減っています。単純計算だと、50年経ったら無人島になるわけです。もちろんそうはならないでしょうが、3 万人台までは毎年1,000人以上の方々が減っていくだろうと言われます。それに伴いまして、佐渡だけでないようですが、廃校、つまり学校がなくなっていくことが大きな問題の一つになっています。そんな中私たちは、2010年に廃校になった西三川小学校を、2011年から借り受けました。かつて日本で一番夕陽がきれいな小学校と謳われた場所で、ものすごく見晴らしがいい丘の上に建っています。経緯を申し上げると、もう1011 University of NIIGATA PREFECTURE