ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

第1回公開講座 佐渡の酒と水─日本酒のテロワール─みなさんこんにちは。尾畑酒造の平島と申します。「佐渡の酒と水?日本酒のテロワール?」という題でお話いたします。元来、こういった場所で話すのは大変苦手な上に、今日は、お世話になっている方々、先生みたいな方々までお越しになられているので、大変だなと思っています。よろしくお願いいたします。私は結婚をきっかけに、妻の実家である尾畑酒造に入りました。それから日本酒のことを勉強し始め、最近、こういう機会をいただきながら頑張っている次第です。●はじめに佐渡における「日本酒のテロワール」についてまとまった形で私が話すのは、2002年度に佐渡で行われた日本感性工学会の研究大会が最初と思います。ゲストスピーカーとして私が呼ばれ、その時のタイトルが「朱鷺が喜ぶと人が喜ぶ」というタイトルでした。当時、最後の日本産の朱鷺であるキンちゃんが、まだ生きていた頃です(2003年10月に死亡)。まだ放鳥という段階ではなく、少しずつ増やすために、中国の朱鷺が入ってきた時期です。その頃に、こういったタイトルを掲げて話したのは、風が吹けば桶屋が儲かるというような話に近いですけど、朱鷺が繁殖していくためには、有機農業に近づけていくことも含めて、自然環境を良くしていくことが必要と思ったからです。そうすることによって朱鷺がしっかりと自然界に復活し、佐渡は人にとっても安全安心の場所になっていきます。佐渡産の安全安心の農作物が増えることによって、それがブランド化して売れます。そういうことを考えて発表しました。実際に、佐渡の農産物に関して言えば、「朱鷺と暮らす郷づくり」認証米制度を含めて、徐々にですが、ブランド米として売れる手ごたえを感じています。これが、我々が考える佐渡のこれからのテロワールに深く関わってくる部分と思っております。●我々にとってのテロワールでは、最初にテロワールの意味について、改めて調べてみましょう。もともと、よくワインの世界で話をされる機会が多い言葉で、そこの土地の土壌とか気候とか、そういったものから来る土地特有の性格付けです。ただ、そこには人が住んでいるわけですから、単純に土地や土壌や気候だけではなく、良い部分も悪い部分も含めて、テロワールは人に影響を受けると考えています。むしろ人そのものも、やはりその土地のテロワールの一つと考える方が適切と思います。これが私どもの会社が考えているテロワールです。もともと、日本酒の製造においては、米・水・人が三大要素と言われます。私どもは、そこに佐渡(の自然)を加えた4 つの宝の和をもって醸す「四宝和醸」という言葉を作って酒造りを行っています。これが、すなわち我々にとってのテロワールと考える次第です。●テロワール?新潟の酒以下では、実際に酒造りのサイクルをふまえながら、テロワールについて話していきます。佐渡の酒第1回公開講座佐渡の酒と水─日本酒のテロワール─第2部「佐渡の酒と水~日本酒のテロワール」尾畑酒造株式会社代表取締役社長 平島 健9 University of NIIGATA PREFECTURE