ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

「新潟における食の風景」FOODSCAPE IN NIIGATAによる地域イメージ・ブランディングの可能性本学の公開講座は、平成23年度「新潟で東日本大震災を受け止める」、平成24年度「阿賀野川流域から世界へ」と、過去2 年間、地域の抱える負の課題に向き合う真摯なテーマを設定し、震災や公害問題(新潟水俣病)を見つめ直す企画が続いた。2 年間毎の任期を更新した昨年春から、地域連携センター運営委員会で、新年度の公開講座の年間テーマを話し合った。委員の中から、新潟の地域性と本学の専門性を踏まえた「食の風景」といったテーマの提案があり、すかさず英国出身の委員からFOODSCAPEという概念が紹介された。前期2 年間のやや重めのテーマから、これまで地域連携センターへの要請に応えることのできなかった、本学の特性を活かした産学官連携への応答の可能性が浮上した瞬間であった。食に係る新潟のアピールとしては、JRグループのディスティネーション・キャンペーンで、2009年度秋期に「うまさぎっしり新潟」が取り上げられて以降、2014年度春期に再度「うまさぎっしり新潟・彩とりどりの春めぐり」が展開される。また、新潟市内の飲食観光関係実行委員会による「にいがた食の陣」と新潟県内の酒造組合関係実行委員会による「にいがた酒の陣」もそれぞれ10年~20年以上回を重ね、毎年一大イベントが開催されている。さらに、2009年には、佐野藤三郎記念「食の新潟国際賞」も設けられ、新潟の食を国際的にもアピールしていこうという勢いになっている。これらはいずれも「食材」に焦点をあて、背景としての地域性や食を支える人材にまでイメージが及ぶことはあまりない。いわば素材や製品レベルの地域ブランディング(差別化)戦略で、来県者の誘致を目指しているものの極論すれば築地ルートや全国酒販ルート、ネット通販でも味わうことができそうなイメージといえよう。私は5 年前に本学の教員として新潟に赴任し、国際地域学科の地域環境コース科目を担当することになり、県内各地域の踏査を始めた。もちろんあまりステレオタイプ化してはいけないが、新潟の風景の魅力とそれを支える新潟人のある種の内向的特質に触れて思うのは、そのことをまるごと新潟の地域イメージとしてブランディングし、国内外に現場で伝えることができれば、その魅力はもっと磨かれるのではないかということであった。そして、その手段として「新潟における食の風景」FOODSCAPE INNIIGATAというテーマはうってつけのように思われる。多分、安手の商業ベースに陥ることを嫌い、売り込み下手といわれる新潟人の内なる頑固さにとって、食を支える人と人が環境と向き合いながらつくりだした風景のある現場そのものを情報として発信することが、新潟の地域イメージ・ブランディングには向いているように思われる。今回の企画は、まず講師の人選から始まった。運営委員の人脈を通して、最終的に講師を引き受けていただいた3 人は、稀しくも電力・建設・金融業界からの転職・起業経験者であった。また、いずれも生まれ育った地域で起業し、ドイツパン・笹団子・ワインと時代の流れに左右されずに生き残ってきた食の不変性に賭けている。ドイツパンとワインは食「新潟における食の風景」FOODSCAPE IN NIIGATAによる地域イメージ・ブランディングの可能性山中 知彦かんずりの雪さらし風景「新潟における食の風景」FOODSCAPE IN NIIGATA十日町の棚田風景村上の塩引鮭風景佐渡の烏賊干し風景29 University of NIIGATA PREFECTURE