ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

平成25年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」だったり、あるいは堆肥代だったりとか、いろんなものを買ってきます。もちろんその畑を借りていれば賃料もかかりますし、それがずっと出ていくだけで、回収できない。本当にそれが一番つらいですけれども、それで今年の春、ピノ・ノワールという品種を新しく入れたんですけども、その時に助けてもらったのが、クラウドファンディングという仕組みなんです。最初の畑の時はうちも銀行からお金を借りたんですけど、銀行の長期資金は大体、普通の事業だったら5 年もたてばその借りたお金で投資をして、そこからリターンが上がってきて、5 年たったら全部返せるでしょう。でもワイナリーは、5 年では全然返せないんです。何が起きるかというと、5年で銀行のお金を返さないといけないですけど、その借りたお金をもとにまだ資金が回収できないので、そのお金を返すためにまた借りなきゃいけないということが起きて、結局、ずっと借り続けなくちゃいけなくなっちゃうんです。そういうことが起きたんで、もう銀行からは借りられないなと思って、どう対処しようかと思って始めたのがこのクラウドファンディングです。もともとクラウドファンディングというのはアメリカでお金のないアーティストが、自分でコンサートをやったり、CDをつくりたいといった時に制作費や会場費が必要ですよね。それで先にお金が必要になるので、それを民間援助を通じて、告知で集めて、お金を出してくださった方にそのチケットを差し上げたり、あるいはできたCDを差し上げるという仕組みなんです。アメリカではキックスターターという随分大きな会社があるので、そこはかなり大きなプロジェクトも手がけているらしいんですけど、日本は少しアメリカよりも遅れていまして、そういうところは何社かあるんですけど、うちはあるクラウドファンディングのプラットフォームにお世話になって、そのプラットフォームからフェルミエのピノ・ノワールワインづくりというプロジェクトがありますと告知してもらいました。これは1 口2万円に設定して、その2 万円はピノ・ノワールの苗代に充当されますと。実際に、その苗を植えて、ピノ・ノワールのブドウができて、それからワインができるのは、おそらく5 年か6 年先になります。その5 年か6 年先に、そのピノ・ノワールのワインができたら、そのワインを投資していただいた金額だけ、ワインでお返ししますという制度なんです。ですから、私は全然キャッシュを支払わないんです。キャッシュインでブドウを植えて、ワインができるようになったら、そのできたワインでお返しするという仕組みです。3 週間の告知期間を設定して、FacebookだったりTwitterだったり、そういうのでどんどん拡散してもらって、結果、90万の苗代が必要なところ、ありがたいことに250万もの資金を集めてくれまして、それを苗代に充当させてもらいました。●フェルミエにおけるレストランの位置づけレストランもうちにとっては重要な位置づけにあります。まず地元のワイン、その土地のワインということは、一般的にもこれは地元の食材とよく合うということになります。これは本当にそうか分かりませんが、一応そういうことになっているので、そこは掘り下げずに、実際にそうなんです。さっきご紹介したうちのアルバリーニョというワインがあるんですけど、これはスペインの品種なんですが、スペインのガリシア地方と言って、ポルトガルの国境に近いところの海に近い場所の、どちらかと言うと地の品種なんです。そこでしかつくられていない品種なんですけど、それを譲っていただきました。実は日本のワインの産地と言われる山梨というのは海がないんですね。だから彼らは白ワインを海のもの、地でとれるものと合わせるということができないんです。でも、新潟は海が近くて魚介類が豊富にありますので、それができます。そういうことを実現するにはレストランがあったほうがいいし、新潟からだろうが東京からだろうが、お客さんにわざわざ来ていただいて、その時にやはりワインだけではなくて、さらに地元の食材と合わせて飲んでいただければ、ワインも食材も両方ともお互いに価値を高め合うことができるので、そういう意味で良いレストランというのが、自分にとっては非常に重要な役割になっています。University of NIIGATA PREFECTURE 28