ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

第3回公開講座 フェルミエ ?Fermier?いうワインだよということをお伝えいただいて、協力していただくと、そういうスタンスで販売をしています。こうした中で、非常に重要な位置づけになるのが、会員制度であります。何種類かあるんですけども、基本的にはフェルミエの苗木の会員になっていただいて、ワインを年間6 本お届けします。やはりうちの畑のブドウで造った、先ほどのカベルネフラン、アルバリーニョというワインが、まさに新潟のその土地の表情をしたワインですので、一番価値が高いと思っているんですけど、そういうワインをまずは会員さんにお出しします。数が少ないので、年によっては、それでほとんどなくなっちゃうこともあるんですけど、その後で、一般会員に回るという、そういう考え方でやっていまして、会員さんにはオーナーになってもらってワインをお届けして、それから畑の作業をご案内しています。作業への参加は任意ですけど、自ら畑に足を踏み入れてもらってブドウを触ってもらって、それでできたワインが送られてくる、そういう仕組みをつくりました。これもたとえば自分が東京に住んでいて、どういうふうになったら一番いいだろうなと思って、やっぱり畑やブドウを触りたいだろうなと思いまして、それが原点です。今、年間ワインを1 万本くらい造って、400人の会員さんに6 本ずつ送るので、2400本です。単純にうちが造った4 分の1 のワインは会員さんのところにお届けするワインだということです。これは経営側にはすごくいろんなメリットがあって、小売業というのは、今年買ってもらっても、また来年買ってもらえるかどうか分からないじゃないですか。だから今年売ったお客さんにまたもう1回、来年も再来年も買ってもらわないといけない。これは銀行員をやっていた経験からも、結構つらいんですよね。ですけど、この会員制度は、1 回会員になってもらって、一応年間の契約なんですけども、基本的にお客さんの方から退会するという申し出がない限り、翌年も継続するという仕組みにしたんですよ。そうすると、ほとんど退会するという人が居ないですね。中には退会したいという人も居るんですけど、それよりも新しく会員になりたいと言う人の方が多いので、少しずつ会員が増えていて、そうすると、安定的にその4 分の1 ぐらいの売り上げは営業をかけなくてもいいということになって、非常にありがたいです。大体どんなビジネスでも、たとえば売り上げが前年の1 割とか2 割落ちることってそんなになくて、大体数パーセントとかそのくらいが落ちるところを、なんとか前年並みか、あるいはそれ以上にするというのが普通のビジネスだと思うんですけど、それがほぼ安定的につながってくれるというのは、非常にありがたいことです。●クラウドファインディングを使った新たな展開それからワイナリー事業で、一番厳しいのが最初の設備投資です。1 万本造っても10万本造っても、造るのに必要な設備というのは、10倍までいかないですから、確かにストックする場所が必要になりますけど、実際、プレス機とか、そういうのって、1万本造るか10万本造るかで変わらないんですよ。要するに稼働時間が変わるだけですよ。だから量が少ないと非常に設備の負担が大きいです。そしてもっとつらいのが、運転資金なんです。通常のビジネスですと、たとえば製造業だったら原材料を仕入れて加工して、販売して、最初の原材料費用を回収しますよね。あるいはサービス業でも、サービスを提供して回収しますけど、大体そういう回収まで必要な期間がせいぜい2 ? 3 カ月だと思うんです。ですけど、仮にワインの場合、ブドウを買ってきてワインを造って販売するにしても、大体、1 年はかかるんですよね。皆さん、ワインショップに行ってご覧になると、今年は2013年ですけど、今並んでいるワインは多分2011年とか、それぐらいになると思うので、それまでは資金回収できないんです。だから非常につらい。これをブドウを植えるところからやるとどうなるかと言うと、ワイン用のぶどうが収穫できるようになるまで、4 ? 5年かかるんです。さらにそこからワインを造って、回収するということになると、本当に気の遠くなるような話で、6 年とか7 年、ずっとお金が出ていって、入ってこないんです。最初の年はちょっと苗代とか畑を開墾したりとか、いろいろな資材をそろえますね。でも2 年目、3 年目だって必ず毎年ブドウの世話をしなければいけないわけですから、人件費27 University of NIIGATA PREFECTURE