ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

平成25年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」で造るワインの価値も高まるんじゃないかなと。この点は飲み手と造り手とがきっと一致するんじゃないかなと思ってこういうスタイルにこだわりました。こういうのを、最近巷では農業の六次産業化と言うみたいなんですけど、私は別に初めからそういうことを意識してやっていたわけではなくて、あくまでもワインを楽しむ人がどういうことを望むだろうかということを考えたら、こういう形になったということです。当然、量は造れませんので、いかにそのワインの価値を高めるかということが、このビジネスを考える上での出発点ということです。ブドウ栽培やワインの醸造に関しても量をたくさん造れないんですが、逆に、それによっていいところがたくさんあります。たとえばワインを造る時に、酸化防止剤というのが入っていますよね。酸化防止剤というのは、必ずしも酸化を防止するというだけでなくて、実は殺菌剤の意味もあるんですね。日本で認められている食品添加物なんですけれども、うちはできるだけ酸化防止剤を入れないというか、必要最低限でとどめるように造っています。それはどういうことかと言うと、例えば大手のワインメーカーがワインを造る時は大量生産ですから、当然現場は分業制になっていくわけですね。それで、ある人のせいでたまたまワインがうまくできなかったら、それはもう大問題になりますよね。それで必ず予防的に酸化防止剤を使うので、ワインが腐るってことはないんです。ただ、人間もそうですが、風邪をひいてないのに風邪薬を飲んだら、体調がおかしくなりますよね。ましてやワインの場合は、発酵が終わってからも樽とか瓶に入れて置いておいて、時間がたつと熟成して、ワインがおいしくなるということがあるわけです。熟成のメカニズムは解明されていませんが、おそらく樽の中とか瓶の中で、自然の力で、何かケミカルな変化が起きて、熟成しておいしくなるわけです。そこにそんな殺菌剤みたいなやつを入れちゃったら、悪いやつもやっつけるかもしれないんですけど、自然のいい働きもとめてしまうんじゃないかなと思うわけです。ですからなるべく自然に造ろうと思うと、私は酸化防止剤は極力使わない。たかだか、うちにある樽は二十数樽ぐらいなんです。ですから、自分で見てやると、一樽一樽、ちゃんと見れるんです。ですから時には、じゃあちょっと今日はこのワイン、調子がそろそろおかしいから、というふうに見つけられることがあるわけです。そういう時に初めて酸化防止剤を入れてやるんです。ですから、量が少ないので、予防的に何かしなくても、なるべく自然な形で造って、必要な時に必要なだけ入れると。これは畑でのブドウ栽培も同じことなんです。ただ、酸化防止剤無添加とか、あるいは無農薬栽培や有機栽培というのは非常に聞こえはいいんですが、私は別に無農薬でやることが目的じゃなくて、新潟らしい土地の表情を素直に表したワインを造るということが目的ですから、そのために必要であれば農薬も使います。ただ、初めから、さっきの話と同じで、初めから使うのではなくて、必要な時に使ってあげる。そういう考え方でやっています。これがフェルミエのワイン造りです。●フェルミエのワイン販売と会員制度次にワインの販売についてなんですが、うちは造っている量が少ないということもあって、基本的に卸にはワインを卸してないんです。日本のお酒の流通ってどうなっているかと言うと、先ほどの日本のワインの話と一緒なんですけど、ビールの流通なんですよ。総合酒類販売という言葉がありまして、要するにビール会社がビールを売る時に、日本酒もワインも焼酎もウイスキーも全部一緒に乗っけてるんですね。その方が、大量に売る時には非常に効率的だし、買う方も楽なので、それがお酒の流通になっているんです。ところがうちは、たくさん造っているわけじゃないから、別にそんな流通に乗っけるほどのものもないし、全部発注が来たら個別に自分たちで発送したらいいだけの話なので、物理的にそういうことをする必要もないということもあるんですが、一番問題なのは、一次卸、二次卸と何度も間に人が入って消費者に届くとなると、われわれがこういう考え方で造っているという現場の熱情と言いますか、想いといったものが、結局消費者に伝わらなくなっちゃうんですね。なので、うちは直売にこだわっています。繰り返しになりますけど、一番望んでいるのは、ワイナリーに来ていただいて買ってもらったり飲んでもらったりしていただくこと。さすがに1 万本全部そこで売るだけの力はありませんので、一部、大体今3 割ぐらいを外販してます。これは小売店とか飲食店ですけど、そういうところと私の関わりがあって、たとえば飲食店に出した時に、お客さんにフェルミエのワインというのはこうUniversity of NIIGATA PREFECTURE 26