ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

第3回公開講座 フェルミエ ?Fermier?ルに表示されてない、そういう時代でした。ただ、必ず日本でも、ごまかしで造られた輸入原料のものじゃなくて、消費者がちゃんとワインの本質を理解して、日本のブドウで造った本当の日本のワインを望むようになるだろうなというふうには思っていました。今は少しずつ日本も変わってきて、そういうふうになってきているのかなと思います。●新潟でのワイン造り続いて新潟でのワイン造りの話です。先ほど話したように、私はまずは自分の育った土地でワインを造りたいなと思ったんですけども、実はその後いろいろ調べていると、新潟の海岸沿いは太平洋側と違って降水量が多いんですが、実はブドウが芽を出してから収穫までの4 月から10月くらいまでの降水量は日本の中でも非常に少ない。また、特に西蒲区越前浜という地区は、佐渡島の近くのためなのか新潟の中では雪が少ないですし、春から秋にかけての降水量が非常に少ないです。あとは、これは新潟に限ったことではありませんが、北陸の海岸沿いの夏の日照量がものすごく多いということが分かりました。それから良いワインを造るためには、ちょっと食べるブドウをつくるのとは条件が違いまして、なるべくつぶを小さくつくったほうがいいのです。そのためには、まず土壌の水はけがいいということ、それから土地がやせていることが重要な条件になります。新潟の海岸沿いは砂地ですので、水はけが良くて土地がやせています。土地が肥沃だと、ブドウの木がどんどん大きくなるんですけど、枝とかに栄養がどんどん取られちゃって、なかなか実に養分がたまらないので良くないということです。また、海に近いということも非常に特殊な条件で、砂地なんですけども、これ実はフランスのボルドーに良く似ていまして、大河が大西洋に注ぎこむ三角地帯にできたのがボルドーの土壌で、越前浜の土壌もおそらく昔信濃川が土砂を運んできて、海に土砂を堆積させ、それが海風でうちよせられたり、海底が隆起してできた土地なんです。ということは、ミネラルをたくさん含んでいます。ですから、そういうことが分かって、僕は最初は土地への愛着だけでやりたいと考えていたのですけど、実はワイン造りにすごくいいじゃないかというふうに思うようになりました。足し算と引き算で考えると、ワインを造るのに土壌とか自然の条件から悪いものを除いていくというのは不可能に近いですよね。だけど、悪いものがなければ、堆肥を入れて少しずつ土を変えることはできるかもしれないし、足し算はできると思うんです。その頃、カーブドッチのワインを飲んで、まだ若い、非常にすっとしたワインだったんですけども、悪いものがなく、非常に素性はいいんじゃないかなというふうに思ったことがあります。海に近い砂地の土地でというのはなかなか日本にはありませんので、ここで新潟らしい、いいワインができればおもしろいんじゃないかなというように思った次第です。●フェルミエにおけるワインビジネスの出発点フェルミエを始める時に、自分だったらどういうふうにワインを楽しんで、どういうワイナリーだったらいいかなということをまず考えてみたのですが、全部、最初にお話ししたワインは自然であるというところに行き着くんですけど、まずやっぱりそのワインができた場所とか、ブドウができた場所に行ってみたいと思ったんです。行って畑を見てみたい、土壌を見てみたい、そして、その造り手の人がどういうふうに考えて造っているのかを聞いてみたいというのが、自分だったら必ず思うことだった。じゃあそういうワイナリーにしたら、きっと、造ったところを見たら、皆さんを楽しくさせることができて、価値の高いワインになるんじゃないかなと思ったのが出発点です。逆にビジネスの観点で考えてみると、個人でやりますので、どう考えても、どう逆立ちしても、たくさん造るとか、会社を大きくするとか、広告宣伝費をたくさんかけるとか、そういうことは大手にかなわないわけです。だけど、ワインの本質というのは、あくまでもその土地のものであるということを、どういうふうに1 本のボトルの中につめこむかということだと思いますので、そういう意味で考えると、やはり皆さんに来ていただいて、畑やワイナリーをご案内して、そしてできればそこで食事もしていただいて、地元の食材と合わせて飲んでもらうということができれば、一番自分25 University of NIIGATA PREFECTURE