ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

ページ
26/34

このページは 平成25年度公開講座記録集 の電子ブックに掲載されている26ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

平成25年度公開講座記録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

平成25年度公開講座記録集

平成25年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」るんです。そうすると、どんどん新しいサービスとか技術を開発していかなきゃいけない。そうなると、設備資金、開発資金がどんどん必要になっていくんです。だけどワインはそうじゃないなと。最初に設備を入れれば、もう何千年と変わらないということを歴史が証明していると。しかも世の中が近代化された中で、ことワインに関して言うと、逆にちょっと逆戻りしていまして、手造りとか、あるいは昔のようなやり方で自然に造るワインが好まれるといった傾向すらありますので、個人で始めるビジネスとしては、ワインはおもしろいんじゃないかなというふうにも思いました。●国産ワインの現状次に、国産ワインの現状についてですが、こういう話、初めて聞かれる方はショッキングな内容かもしれないんですけど、実は国産ワインのうち75%から80%は、輸入原料を使っているワインなんです。どうしてかと言うと、国産ワインというのは、要するに国内で瓶詰めされれば、それで国産ワインができるんです。じゃあ具体的に輸入原料とはどういうものかと言うと、まず一番多いのが、海外でジュースにされた濃縮還元果汁というものです。これを輸入してきて、日本で解凍して、水で薄めて発酵させてワインを造ります。それからその次が、もう海外で造られているワインになったものをバルクで輸入してきて、あとは日本で詰めるだけという状態のバルクワインと呼ばれるものです。では、日本のワイナリーってどうなっているかと言うと、皆さんあまりピンと来ないかもしれませんけど、200社以上あるんです。200社以上あるんですが、実はビール大手4 社とその子会社、それからもう1 社は醤油のキッコーマンという会社、この大手5 社が国産ワインのシェアのうち75%を占めています。ですから残り25%を二百何十社が少しずつ造っているという構造になっていまして、先ほどの輸入原料をたくさん使っているのがこれら大手5 社です。おそらく彼らが造っているワインは、一部ちゃんと国産のブドウで造っているものもありますけど、そんなに国内でブドウも栽培できないので、ほぼ98%くらいは輸入原料のワインです。よくスーパーに行くと、一番下のほうに、580円とか980円で無添加ワインって日本語で書いて並んでいるワインがありますね。ああいうのが、この輸入原料を使ったワインです。それから、僕は山梨のワインをまったく悪く言うつもりはないんですが、もともと、日本のワインは山梨が一番盛んだったんですけど、どうやってワインを造っていたかというと、食用ブドウのくずブドウでワインを造っていたんですね。ですからワインを造るためにブドウをつくるんじゃなくて、要するに余ったものとか、売れない食用ブドウを加工用原料としてワインを造ったというのが山梨のワインの歴史です。先ほどの話にちょっと戻りますが、国産ブドウでできた国産ワインが仮に25%あるとします。ところが、良いか悪いかはともかく、その25%の中にカベルネ・ソーヴィニヨンとかメルローとかシャルドネとか、そういうヨーロッパでワインを造っているようなワインの専用品種からできているものは、さらにその3 割しかないんですよ。ということは、国産の原料で、しかもワインの専用品種を使って造られている国産ワインは、国産ワインのうち7 、8 %しかないということなんです。ヨーロッパではワインの歴史ってすごく長くて、何千年という歴史があります。でも日本でワインの専用品種を国内でつくって、それでワインを造っているという歴史は非常に浅くて、昔からごく一部のところでは造っていたかもしれませんけど、こういう本当のワインを造ろうという動きが出てきたのは、今から15年とか20年ぐらい前だと思うんです。ですから私がワインを造ろうと思った14年くらい前は、まだそういう本当の日本のワインというのはほとんどなかったんです。私が1999 年ぐらいに最初にワインを造りたいと思ったころは、日本でもようやく食の安全とか安心ということが言われるようになってきた頃で、中にはトレーサビリティという言葉が使われたりとか、それからマーケティング的な意味が強いかもしれないんですけど、オーガニックとか有機栽培だとか、そういうことが注目され始めた頃でした。でも、先ほどお話したように、ワインこそ本来は、どこで誰がどうやって造ったかということが商品価値であるはずなのに、その多くが輸入原料で造られているというのが実態で、しかもそれがまったくラベUniversity of NIIGATA PREFECTURE 24