ブックタイトル平成25年度公開講座記録集

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平成25年度公開講座記録集

平成25年度新潟県立大学公開講座「新潟における食の風景」六次産業(化)近年、地域の活性化を目指して、「六次産業」が注目されている。知恵蔵2013によると、「六次産業(化)」とは、「第一次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらずに、それを原材料とした加工食品の製造・販売や、観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第二次産業や第三次産業に踏み込むこと」と解説されている。農業経済学者・今村奈良臣氏は、食料・農業政策の基本スタンスの一つの柱として、当初は1 + 2 + 3 (次産業)の足し算で六次産業(化)の推進を提唱していたが、一次産業が0 になったら、いくら二・三次産業を強化しても0 にしかならないので不十分だと考え、1 × 2 × 3 (次産業)の掛け算の六次産業(化)を呼びかけている。他業種との連携による多角的経営によって、高付加価値の商品や新たな関連ビジネスを創出していく新しい産業である。このような動きをふまえて、農林漁業等の振興を図るとともに、食料自給率の向上等に寄与することを目的に、下記のように法律も制定されている。2008年: 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(農商工等連携促進法)2010年: 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(六次産業化法)六次産業の原点は、「地域の先祖がどのように英知を傾けて自然の恵みを享受し、生活を営んできたかという各地域の歴史の中にある。」と今村氏は言う。とくに、「食」と「農」をとおした地域活性化は、全国各地で多様な事例が生まれており、その牽引役は女性が多い。まさに、地域の伝統的な素材・食材を扱って起業された第2 回講師・五十嵐祐子さんの「下田の笹だんご」は、この一事例に該当する。さらに、最近の六次産業への取り組みは、一次産業従事者が二次・三次産業へ進出するだけでなく、建設業や観光業等の企業が一次産業へ進出するケースが増加している。新潟のワインの歴史上越市(旧高田)には、「日本のワインとブドウの父」と称される川上善兵衛氏が、1890(明治23)年に創業したワイナリー「岩の原葡萄園」がある。当時の時代背景と豪雪地という風土を考慮し、新たな産業としてワイン醸造に着目し、私財を投じてブドウ栽培とワイン醸造に生涯をかけ、国産ワイン醸造の礎を築いた。1895(明治28)年に手がけられた「第1 号石蔵」は国登録有形文化財、雪による冷却庫を併設した「第2 号石蔵」(1898年)は、上越市指定文化財になっている。それから約100年を経て、角田山のふもとには新しい魅力を希求し、自然を尊重してこだわりの国産ワイン醸造に情熱を傾けている第3 回講師・本多孝さんのような人達が続いている。農の高次化・ワインの新潟化渡邊 令子「食のにっぽん」推進委員会HPより第1号石蔵第2号石蔵妙高連山のふもと頚城平野 岩の原葡萄園HPよりUniversity of NIIGATA PREFECTURE 20