平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 72/80

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平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」だから、県立大学がもし何々学ということで、今後、阿賀野川流域を進めていかれるとしたら、そういうところに少し目を配るといいますか、意義のある仕組み....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」だから、県立大学がもし何々学ということで、今後、阿賀野川流域を進めていかれるとしたら、そういうところに少し目を配るといいますか、意義のある仕組みがどうやったらできるだろうっていう観点、人を重視する観点でちょっと進めていっていかれたらいいという方向性があるかなと感じました。司会 人づくりの1 番は子どもたちです。植木先生は福島の被災地、南相馬を訪ねて子ども達を支援されているのですが、阿賀野川流域でも、人づくりっていうことになってまいりました。一言、子どもたちにどうやって伝えていくのか、コメントいただけるでしょうか。植木 子ども学科の植木でございます。南相馬の子ども支援プログラムをずっとしておりますけれど、やりながら少し思ったことはですね、子どもたちが、例えば外になかなか出てこないとか、外で遊ばないとか、集団が組めないとかっていうふうに、よく批判の矛先にされる場合がありますけれど、私から見ると、子どもたちが外に出てきても、少子化の影響で、なかなか自然発生的に集団が組めないとか、あるいは、そこで地域とのつながりがなかなか持てない。つまり、子どもの責任ではなくて、環境条件の責任だというふうに思っています。そういった意味において、私たち大人と子どもたちをつなぐというのは、意図的に環境づくりをして大人が意識的に子どもたちにかかわっていく視点が必要かと思います。そんな意味では、私たち大人の側から、いろいろなプログラムやプロジェクトを発案して、そして子どもたちとつながっていくことが重要かなと感じました。司会 いろいろな先生がいて面白いです、この大学は。話がつながってきました。もう一度、李先生からコメントをお願いしたいと思います。◆仮想水:水の豊かな日本の水の輸入李 日本に来て10年なんですけれども、いつも感じていることなんですが、非常に水が豊かでおいしいお米が作れていて、緑がいっぱいなんですよね。一方、私はこの5 年間、中国の西北部や、カザフスタンや、モンゴルの乾燥地域に研究に行った報告をする際に、「いや、それは乾燥地域の水管理の問題である。われわれ日本は水豊かだから、あんまり関係ないんですね。」みたいなコメントをいただきます。そういっても日本の生活は、乾燥地域の農業生産とも、非常に緊密に連携していると思います。水文学という研究領域があり、基本的にはモデルづくりです。最近では、水文学のモデルに、経済モデルも組み込んで経済水文モデルとか、水文経済モデルっていう開発も盛んに行われるようになって、注目されている分野は、バーチャルウオーター(仮想水)っていう研究なんです。どういう水かというと、その、私たちの生活は、輸出、輸入、国際貿易で成り立っている部分が大きいですけれども、そういうものの流れに含まれている、間接的な水の流れです。日本国内の年間の水資源使用量890億トンに対して、実は私たちは、輸入で間接的に輸入しているほかの国々の水は、1,035億トンなんです。つまり、輸入している間接的な水の流れは、私たち日本で直接使っている水よりも多いのです。乾燥地域って、砂漠のイメージがあるんですけれども、実はそうではなくて、世界の陸地のうち、砂漠の面積は大体7.5%ぐらいしかないんですけれども、それに対し、39%は砂漠ではない乾燥地域です。つまり非常に水が少なくて、もっと乾燥したらすぐ砂漠になってしまうというような乾燥地域が39%、つまり4 割弱は、砂漠になりやすい地域なんです。そういう地域は、実は気温条件とか、日射条件が非常に良くて、水さえあれば、非常に良質な作物、農作物が作れます。現在世界では乾燥地域の農地は面積で世界全体の20%を占めていますけれども農業生産量の30%を占めています。私たちの生活は乾燥地域で作られた作物に支えられているっていう一面もあります。確かに日本は水が豊かなんですけれども、その豊かさは、実は、外国の水を使っているから豊かに見えているっていうことです。最後にはグローバルな視点で、一緒に水問題というか環境問題をぜひ考えていただきたいと思います。司会 水の豊かなのは見かけだけ、実は乾燥地域からも輸入している。そうすると、阿賀野川は日本で有数の流量があり、恵みっていうものに、われわれ今までいったどうやって向き合ってきたのか。阿賀野川って、川ガキいます?山崎 川ガキ? 子どもですか。うーんと、いないです。University of NIIGATA PREFECTURE 70