平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 67/80

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第4回公開講座 阿賀野川流域から発信する水俣市は非常に深刻な状況に置かれていて地域再生をやらざるを得ないという状況に追い込まれてスタートしました。「もやい」は、船と岸をつなぐ綱のことです。公害で壊れた....

第4回公開講座 阿賀野川流域から発信する水俣市は非常に深刻な状況に置かれていて地域再生をやらざるを得ないという状況に追い込まれてスタートしました。「もやい」は、船と岸をつなぐ綱のことです。公害で壊れた人と人のきずなとか、あるいは人と自然の関係をもう1 回紡ぎ直しましょうという取り組みです。新潟県はそれから20年以上たった新潟水俣病の40周年の平成17年、新潟県知事のもやい直しを図りながら、水俣病の教訓を伝えていって、ふるさとの自然を二度と汚さない「ふるさとの環境づくり宣言」がきっかけです。2 年後の平成19年から新潟版のもやい直しとして、「え~とこだプロジェクト」がスタートしています。具体的な取り組みは環境学習、イベント、情報発信の三つが基本的な事業です。環境学習は、公害関連プログラムを作っています。イベントは、パネルを1 年に1 回作って、地域でパネル巡回展や地域再発見講座を行っています。情報発信では「阿賀野川え~とこだより」を年に数回発行しています。そうした表面上の事業よりも地域再生で重要なのが、作品づくりと「ロバダン」です。ロバダンは炉辺談義の略なんですけども、炉辺を囲めるぐらいの少人数で、本音を語り合う寄り合いです。水俣市のまねしたわけじゃないんですけども、似たような取り組みを行っているんですね。で、地域再生を行う作業は大体みんなこういう似たような取り組みを行っているんですけれども、こういうふうな少人数で集まって、流域のさまざまな方々の本音とか意見を聞く会をこれまで100回近く行っているんです。自治会とか、地場産業とか農業、環境団体の方々とか、地域づくり団体の方々、ほんとにさまざまな立場の方々から、地域の人々の本音を聞き出す。自由にいろんなことをお話しくださいという形でやろうと思っています。その中で、当然新潟水俣病に関するさまざまな本音がいろいろ出てくる。そういったものも、環境学習とかイベントのいろんな事業に生かしています。ロバダンをやっていると、地域の人たちと仲良くなって、昔の貴重な写真とか資料をいただけるんです。それらを使って紙芝居、パネルですとか、映像作品づくりをやっています。そして作品を事業に生かし、ロバダンの場で見せていくことで、いい循環をつくり出しているのが、地域再生事業の全容です。ただ、これは、新潟県さんが始めた委託事業で、われわれはそれは受けているんだと思うんですが、そのお金はいつかなくなっていくわけです。これを経済的に自立して継続させていきたいとFM事業の民間の関係者が集まってつくったのが一般社団法人あがのがわ環境学舎です。あがのがわ環境学舎では環境学習を運営して、全国からいろんな人々を迎え入れることによって経済的自立の道を探ってずっと継続していこうと考えています。◆地域との接点づくり=エコミュージアム構想5 年ぐらいこれで事業を進めてきたんですけど、実はどうしても足りない部分が出てきました。どういうことかというと、地域に賛同してくれる人はいっぱいいるんですが、一緒に仕事をすることができないんです。公害に向き合うってという事業なので、地域の人にとって共通点がないわけです。何とか地域の人々と一緒にやれる共通の事業をつくろうと「公害の経験を乗り越える『阿賀野川エコミュージアム構想』流域再生プロジェクト」事業を立ち上げました。全国からいろんな人々が流域を訪れたときに、公害を経験したからこそ、今現在、阿賀野川流域では、いったいどんな取り組みをやっているのか、あるいはどんな新しい地域づくりを始めているのかが問われるんじゃないですかね。その際に、こういうふうな取り組みを地域の人々はやっていますよ、新しい取り組みをやっていますよっていうふうなものを、地域の人たちと一緒につくり上げていくのが、この阿賀野川エコミュージアムです。ここから、今まで水俣病の問題にかかわってくれたことがなかったような地場産業の方々とか、旅館の温泉組合の方々が、積極的に一緒に事業をしてくれるようになっています。会場内で準備が進んでいる蒸しかまどの小田製陶所さんも、このエコミュージアムという事業で、一緒に仕事をしている仲間の1 人です。われわれはFM事業とエコミュージアムを車輪の両輪のようにして、最終的には阿賀野川流域全体を、エコミュージアムの舞台にしていきたいなというふうに考えているのが目的です。司会:ありがとうございました。李先生、お二人のお話を受けて、コメントをお願いします。65 University of NIIGATA PREFECTURE