平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 64/80

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平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」んですね。年寄りとちっちゃい子どもが免疫力が小さいので、ぜんそくになりました。海だって油と硫酸が浮いていて、魚も住めないような海だった。今はどの....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」んですね。年寄りとちっちゃい子どもが免疫力が小さいので、ぜんそくになりました。海だって油と硫酸が浮いていて、魚も住めないような海だった。今はどの国に行っても、コンビナートと人が住んでいる間に緑を増えたり、ある程度距離を置くんですね。距離を置いても、汚染物質って軽いもんですから、遠くには、2,000キロも風に乗って運ばれるので、1 キロ2 キロ離れているところではなんの意味もないかもしれないけれど、コンビナートと一般に市民が住んでいるおうちとが隣り合ったまままちづくりが進んでいるということは、いかに大変な問題を含んでいたのかということが分かります。四日市コンビナートの周りには、1 カ月に1 キロ× 1 キロの単位面積当たり15トン、つまり4 トントラックで4 台近くの汚染物質が落ちて、正常に暮らす人がおかしいというようなバックグラウンドを持っていました。ぜんそくだとか気管支炎だとか、肺気腫という、呼吸器系の病気になっている人の割合を見るだけでも、10キロ、20キロ離れているだけで四日市ぜんそくを防ぐことは可能だったかもしれない。汚染物質を取り除くのか、逃げるか、どちらかしか方法がなかったということになります。あの当時、四日市港に1 億円以上に水揚高があったんですけれども、魚も異臭魚といって、「魚を油のしょう油に付けて食べるようなにおいだった、味だった」って言ってまして、一切それが駄目になっちゃって、行き場がなくなった方々がどこで働いたかというと、コンビナートで働いた。そういう形なので、逃げようがなかったということになるんですね。環境問題の怖いところは、弱い人にしわ寄せられることなんです。これはものすごく大きい問題で、例えば、三菱の社長も、四日市のああいう漁師の町に住んだかというとそうじゃない。東京に住んでいます。だから、結局、四日市は、お金がたくさん入ってくるんだって喜んでいたけれども、そのお金、ほとんど本社があるところに行っちゃって、法人税ちょっとしか落ちなくて、残ったのは汚染というイメージと、人の病気と、まだいまだに自然が戻っていないということ。野田之一さんは四日市は結局損したという一言で表現しているんですね。1970年、いよいよ公害防止法が動き出すんですけどコンビナートは汚染物質を減らすか、営業停止するかどちらかというものすごく強い規制が入ってきます。当時使った燃料の使用量と汚染物質の濃度を見ると、やればできるということなんです。燃料の使用量はそんなに変わってないのに、大気汚染濃度は急激に下がっている。日本は経済が優先だったから、環境は、お金もかかるし、厄介なことだから、やりたくないんだっていう判断をしたからであって、環境と経済はばらばらではなく、共に生きる運命共同体だというふうに思っていたならば、公害は起きなかったんだってわかります。防止はやればできるんだっていうことも四日市公害から学んだことであります。最近は、環境基準値をはるかに下回るような形で、きれいな空、きれいな海は戻りました。ただ、自然はまだ戻っていません。自然が破壊されるには数年しかかからないけれど、元に戻るのは100年かかるか200年かかるか分かりません。四日市公害は、大気汚染だけじゃありません。大気汚染物質が風で運ばれて、水で落ちてきたら再び地下水とか通じて汚染されたものが戻るんじゃないか。私はモデルを考えてみたんですが調べてみたら30年、40年で戻るんです。地下水の流れは結構早くて、ちょうど今、再び戻ってくるんですね。かつては大気汚染だけなんとかなれば良かったかなって、みんな思ったんですが、自然って不思議につながっていて、今回は、水で汚れが出てきて、もう既にハマグリとか二枚貝は採れなくなっています。その理由は、あの、汽水域のところで、海水と地下水がうまく代わっていくところに二枚貝が生きるわけなんですけれども、地下水が汚染されているのが流れていくと、貝は生きていられない。今、シジミ、それからノリ、それともう一つハマグリというのはほとんど採れなくなりました。なかなか科学的には言えないんですけれども、既に大気汚染から水汚染につながってきたんだということなので、四日市公害が解決されました、ばんざいというには、まだまだ分からない。当面、何十年か100年かは分からないけどかかります。だから、研究は継続してやっていく必要があるんだろうと思っているんです。◆四日市学の目標と三重大学の取り組み四日市学は、法制度、政策、技術、ビジネス、企業の社会的責任なんですが、一番肝心なのは「賢いUniversity of NIIGATA PREFECTURE 62