平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 56/80

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平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」行こうって言って、初めて会として温泉に行きました。「ほんとに今日は、えかった。これで冥土の土産できたわ。旗野さんありがとね」って、初めてそういう....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」行こうって言って、初めて会として温泉に行きました。「ほんとに今日は、えかった。これで冥土の土産できたわ。旗野さんありがとね」って、初めてそういう…ずっと裁判とかやってきたんだけども、それとは違う感謝の言葉をもらったんですね。「ほんとによかったよ」って。じゃ次、何したい? って聞いたら、今度は花見に行きたい。会津のころり三観音巡り行きたいとかですね、全然今までと、運動とは関係ないようなことがどんどん出てくるわけで。でも、一方ではとてもうれしかったですね。仲間が、みんな次々死んでくわけですので、もう限られた時間とこの人たちが生きててよかったという思いを、お返しできるかなっていうふうな気持ちになった。安田の患者の会の、その周辺、家族も含めてですね、おんなじ家族でも、認定になって1,000万とか1,500万、大きなお金もらってる人がいるし、260万の人もいるし、まだ申請もしてない人がいる。その村にとっても、いろんな立場の人がいるんです。でも、全員被害者です。その被害者の都合で、そういうふうになったわけでもなんでもないんですよね。いろんな症状の現れ方があって、申請できる人、できない人とか、いろんな立場があるもんだから、一応運動が終わったんですが、その村の中で、あの人なんか野暮こいて260万もらったとか、月曜日の朝、生ごみ出すときに、みんなコソコソと、ほら、あの人なんか元気なのに、ごみなんか二つも持ってるくせに、とか言うんです。運動の成果としては、一定の評価とか得られて語られる部分もあるんだけども、その村の都合から言うと、何一つ解決してないっていう事情があるんですね。運動の拠点になったのは、千唐仁っていう、船頭さんがほとんどを占める、100戸ほどの小さな村なんですが、そこに昔から虫地蔵さん…ツツガムシっていうダニの一種で、刺されると死んじゃうっていう、とても怖がられた、で、亡くなった人もいるんで、供養するので、奉られたんですね。いろんな立場の患者さんがいるんだけども、虫地蔵さんだけは、一様に皆さんが手を合わせたり会釈しながら、みんなで大事にしてる、村のマスコットなんですよね。その隣に、水俣のお地蔵さんを建てると、ひょっとすると、昔のように、お互いさまで仲良く生きていけるような、きっかけになるんじゃないかっていうふうな話が出てきて、じゃ、どうせ作るなら、水俣の石をみんなで拾いに行って、それで、石工の漆山さん、飲み仲間の漆山さんに彫ってもらおうじゃないかって、1998年の4 月24 日、虫地蔵祭りに合わせて建立したわけです。写真の右のほうのおばあさん方は、虫地蔵さんの念仏講の人たちなんですね。この念仏講の中でもいろんな立場の患者さんがおられます。認定患者さんもおられるし。でも、この念仏唱えるときだけは、みんな仲良く、この日1 日はやろうねっていうようなことで集まってたんですね。で、一ついい話が、実はこのお地蔵さんを建てさせてもらう土地の主のおじいさんとおばあさんは未認定患者なんですね。ところが息子さんは、また水俣の運動のために、そんなことをやると、旗野さんまた、観光バスで大勢積んできたりするでしょう。そんなことをやられると困ります、っていうことで断られたんです。もうお地蔵さん彫ってもらってるのに。それがほんとに土壇場になって、そのおばあさんが、こんなありがたい話断るなんて、逆に罰当たるっていうことで、ハンガーストライキやったらしいんです。とにかく、おばあさんのおかげで、ほんとに直前になって、建ててもいいっていうことになりました。4 月24 日、めでたく建って、水俣からもお祝いに駆け付けてくれました。村の集会所があります。その集会所も基本的には村の人たちは、ただなんですが、水俣の患者の会はよそ者扱いで、いつも300円だか、500円だか、使用料取られてた。でも、その日は、区長さんが「今日は、村のお祝い事だから、いりません」って言われたんです。もう、患者の会の人たちは、皆さん喜んでくださった。裁判で和解を結んで260万もらったっていうことも、運動の成果としてあるんだけども、多分、その千唐仁の100戸の村の、患者さんの立場からすると、ようやっと、村でも完全に理解してもらったということではないんだけれど、それでも、村のお祝い事だから、一方では建てちゃいけないっていう話もある中で、そういうふうに言ってくれたっていうことは、目に見える成果は何もないようなんだけども、患者さんにとっては、喜ばしい出来事だったと思うんですね。で、それがきっかけで、ただで貸してもらえるようになったんです。ですから、たかが300円、されど300円で、やっぱり、お地蔵さん建てるっていうことは、とても大事なことで。後世に伝えるっていう、和解の成果の一環として、環境と人間のふれあい館っていうのもできました。水俣病っていう名称を付けるかどうかってこUniversity of NIIGATA PREFECTURE 54