平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 54/80

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平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」麻理さんの作った番組の中でも、麻理さんがもう、突っ込みが鋭いもんだから、「いつでも24 時間、歌ってる」「えっ、トイレ入っても歌ってるんです?」「....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」麻理さんの作った番組の中でも、麻理さんがもう、突っ込みが鋭いもんだから、「いつでも24 時間、歌ってる」「えっ、トイレ入っても歌ってるんです?」「はい、やりながら歌ってます」ってあるんですけど。もう、寝ても覚めても、とにかく口ずさんでる。歌うことがほんと、あの人の源なんですよね。薬なんです。若いころレコード化の話があったけども、わいせつな歌詞っていうのと発音が悪いってことで、ドタキャンなったらしいんですが、米寿のお祝いのときに仲間を募って、ものすごくかっこいいCDを作ってあげました。すっごく喜んでくれて、そのタイトルが、「うたは百薬の長 渡辺参治88歳」。ジャケットもプロの村井さんから撮ってもらったり、もう完璧なかっこいい…経麻朗さんから全面協力していただいて、あの、『阿賀に生きる』のテーマソング作ってくださった方ですけど、もう、ほんとに喜んでくれました。そのときに、こんなに喜んでくれるんであれば、これは冥土の土産のようだ。参治さん、「いつ死んでもいいよ」って、私も突き抜けて、解放されてる参治さん見てたら、ようやっと自分自身から解放されたんですね。そしたらものすごく気持ちが楽になって、もう参治さんといつも北海道から南は九州、沖縄まで、2 人で「冥土のみやげツアー」ということで、楽しませてもらいました。映画の3 人もそうなんですけど、特に参治さんは何でも受け入れてくれるんです。拒否しない。いつ死んでもOKと言う割には、この前、11 月で96歳なんですが、「参治さん、あと4 年頑張らんかね」って言ったら、「いやいや、俺は12 0まで生きるんだ」って。あと4 年どころじゃないんだと。まだまだ、旅の途中らしい。だから、麻理さんもおっしゃってたように、水俣患者はこうあるべきみたいな、勝手な患者像を押し付けてたような気がするんですよね。あの人、あんな元気に歌ってるのに水俣病患者であるわけがない。ほんとは参治さん、寝ずにしびれたりしてるけど、そんなの見えないから知らないわけですね。切ない思いしながら、歌でごまかしてるから。それは、畑に草取り行く人もあれば、いろんなことで、水俣病を克服しようとするスタイルあるけど、たまたま参治さんの場合は歌であったと。で、麻理さんも、わが意を得たりというか、最初はびっくりされたんだろうけど、付き合う中で、どんどん、どんどん、引き込まれていくっていうか、患者さんっていうよりも、いいおじいちゃんに恵まれたっていうか、人生のほんとの達人っていうかね、そういういい人との出会いを得たっていうことだと思うんですね。遠藤 そうなんです。あの、参治さんは、私が番組を作る中で、すっごく苦しんで悩んで、水俣病勉強するのも一からですから、何度も通いましたしね、旗野さんの仕事の邪魔しに。で、ほんっとに、何度もスタッフともけんかしたりしながら作ったんですけど。それで迷ったりなんかすると、なぜか知らないけど、参治さんから手紙が来たりなんて。何も悩んでるとかは書かない、ただ、参治さん元気ですかって、今、番組、一生懸命作ってますよ、参治さんのいい歌、ちゃんと入れて作りますからねっていうような手紙なんですけども、そこから、恐らく参治さんだからこそだと思うんですけど、なんか、私が悩んでるのかなとか感じ取ってくださったのか、必ず励ましの言葉を添えて送ってきてくれて、そのときに、印象に残ってる三つの言葉っていうのがあって。一つ、「嫌なことを言ってくれる人ほど、大切な人である」っていうことと、二つ、「真心を尽くしたことは、他人は知らなくても自分を支える力になっている」っていうことと、あと三つ目は、「小さなことに徹する人は、大きなことをなす力に恵まれる」っていう言葉をさりげなーく書いて送ってくださって、私それを見て、もう涙を流して、やるぞー! っていうことで、もうパワーをいただいて作ったっていう。そんな思い出があります。旗野 それでなんとか賞もらったの?遠藤 はい。なんとか賞をおかげさまでいただい「うたは百薬の長」ジャケットUniversity of NIIGATA PREFECTURE 52