平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 53/80
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第３回公開講座 阿賀野川流域と『阿賀に生きる』を語るうまいんだよって、すごく元気で朗らかな、いいおじいちゃんなんだよっていうことを聞いたんですね。私、祖母に育てられたおばあちゃんっ子なんで、おじいちゃ....
第３回公開講座 阿賀野川流域と『阿賀に生きる』を語るうまいんだよって、すごく元気で朗らかな、いいおじいちゃんなんだよっていうことを聞いたんですね。私、祖母に育てられたおばあちゃんっ子なんで、おじいちゃん、おばあちゃん、大好きなこともあって、そのおじいちゃんに会いたいなあっていう思いだけで、まず、水俣病のみの字も頭になく、行ってみたんですね。追悼集会だったんです、はい。そのときに出てこられたのが参治さんで、私会ったとき90歳だったんですが、そのおじいちゃんが元気に歌って、私初めて会ったんですけど、「ありがとうございます！」ってね、「はいっ！」っていう、そういうほんとに…。旗野 声が頭のてっぺんから…。遠藤 そう、頭のてっぺんから声が出る方で。私とこう、初めましてって握手したときも、こう握手して、ここ触るんです、ここ、手首を。何だろうと思ったら、ここを触ると、いい女かどうか分かるんですって。（一同笑い）遠藤 ええ、私あの、認めていただいて、はい。「よっし」なんて言われて、で、ますます好きになって。で、そのあとに実はねって、あのおじいちゃんは水俣病の未認定患者さんなんだよって聞くんですね。で、私、えっ？ と思って。水俣病って、みんなこう、震えてるんじゃないの？ 手とかこう、反り返ってるんじゃないの？ そもそも、笑ってこんなして歌を歌えるんだろか？ っていうことで、それまで持ってた水俣病のイメージが、その参治さんっていう人に会ったことで１８０ 度、変わってしまったんですね。で、水俣病って、何なんだろう？ 参治さん、今も番組を作るときに伺うんですけども、いろんな症状、水俣病の症状ってのも一つではないんですよね。いろんな、目に見えない症状があることで、偏見や差別があって、苦しいんですけども。その参治さんを苦しめてる水俣病っていうのは、何なんだろうって。私、恥ずかしながらですけれども、裁判は決着したし、患者さんは救済されてると思ったんですね。でも全然そんなことなくて、まだ始まってもいなかったんです。それを知って、あ、これは、ラジオっていう仕事をしてるんだから、新潟のみんなにも伝えたいと思った。何よりも、参治さんって、人として、ほんとに素晴らしい心を持った方で、明るくて朗らかですてきな方を、みんなに伝えたい。水俣病もそうだけど、参治さんをみんなに会わせたいという思いで、番組を作ったのがきっかけでした。うーん。それからずっと参治さんと文通を楽しんでます、はい。大熊 今も文通してるの？遠藤 あ、今日持ってきました。これなんですけども、参治さんと何カ月にか１ 回なんですが…。大熊 これは何日にもらったの？遠藤 去年ですね。クリスマスくらいのものなんですけど。大熊 ちょっと読んで…。遠藤 いっつも、いっつもそうなんですけれど、一面これくらいの、見えますか？ 真っ黒ですよね。真っ黒の、びっしり書いたのが、３ 枚。毎回このくらい書いてこられてね。で、この中に、時々判読不能なこともあるんですけど、一番いっぱい出てくる言葉って、何だと思いますか？大熊 ありさ。遠藤 ありさも出てきますけど、確かに、ハハハハハ。何だと思いますか？ これ、想像つく方、いらっしゃいますか？ 魚、ああ、魚、うん、今、はい、今、寄り添ってこられた旗野さんが…旗野 感謝の言葉。遠藤 そうです。「ありがとうございます」っていう言葉が、一番いっぱい出てくるんです。遠藤 ぜひ旗野さんが、参治さんを…何年のお付き合いですか、参治さんと？旗野 今の麻理さんの話の通りで、ちょうど私が結婚するころだから、32 年か33 年前に出会った人っていうか、分かってはいたんだけど、やっぱりね、正直言うと苦手だったんです。なんでかっていうと、もういわゆる、全く水俣病患者らしくないんですよ。要するに、救済してくださいっていう、ああ、患者さんって大変なんだ、かわいそうなんだっていう趣旨の集会なのに、１ 人笑ってて、すぐ歌うし、困った患者さんだったんです。（一同笑い）旗野 いかにも、偽患者代表みたいな。（一同笑い）旗野 だから私にとってもね、受け入れがたいとこあったんです。で、頭の中では、いろんな人がいるんだ、実際、百人百様の症状を持ってしかるべきだと思って、理解はしてるんだけど、参治さんの場合はやっぱり困るんですよね。せっかく、そのような雰囲気で盛り上がってるのに、１ 人だけ笑ってる。51 University of NIIGATA PREFECTURE