平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 32/80

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平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」御所浦という島は、水俣市の対岸に位置しており、多くの方々が水俣病の被害に遭いました。しかし、事件発覚から15年もの間、この被害について語られること....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」御所浦という島は、水俣市の対岸に位置しており、多くの方々が水俣病の被害に遭いました。しかし、事件発覚から15年もの間、この被害について語られることがなく、その間被害は拡大し続けました。その経験を改めて見直すことで水俣病を学び直していきたいと思います。ここでまず御所浦という島の位置を簡単に説明していきたいと思います。この左上の地図ですが(パワーポイントで示す)、赤い丸で囲ってあるところが御所浦という島です。御所浦は不知火海を挟んで水俣市の15km北西に位置する、御所浦群島の本島です。現在は天草市の一部となっています。昔から島の経済を支えてきたのは漁業で、この地域では米がほとんど取れないため、その代わりに魚を主食とするような生活が行われてきました。次に、御所浦の現在の様子を紹介したいと思います。初めに町の様子です。御所浦では急な斜面に家々が立ち並び、その間を縫うように狭い路地が張り巡らされています。現在は閉館していますが、町民による手作りの小さな映画館もありました。次の写真がその映画館です。御所浦では、現在オリーブの栽培に力を入れています。御所浦では九州電力の工事の下請けの仕事が経済的に大きな支えでしたが、その工事がほとんど終わってしまったため、新たな事業として九州電力によってこの栽培があっせんされました。しかし、オリーブの栽培は難しく、100年単位の長期的な計画で行われております。また、以前は多く見られたものの現在は衰退してしまった段々畑の跡地に公園を建設するための整備が進められており、オリーブなどを植樹して公園にする計画があります。次に、水俣市と御所浦の関係を見てみます。御所浦には「御所浦町水道20周年記念感謝の碑」というものが建てられています。御所浦で盛んな甘夏みかんの栽培に使われる農薬によって、井戸の水が汚染され、そのことが原因で御所浦の人々は長い間渇水問題に悩まされていました。しかし、水俣市から海底の水道管を引くことによって、その問題は解決にいたりました。また、次の写真ですが、これは、水俣湾公害防止事業における水俣湾の埋め立ての際に、ヘドロを詰めたドラム缶の上からかぶせる土に御所浦の土が使われて、そのときの傷跡が今でも残っているという写真です。ここに薄く線が引いてあるんですが、この下側が全て削り取られた跡になっています。では、御所浦における具体的な水俣病の被害を見ていきます。まず水俣病被害が見られた主な地域の認定患者数を見ていただきたいと思います。水俣市で1,012 人、津奈木町で353人、芦北町で34 6人、鹿児島県の出水市で397人の患者が認定されています。御所浦においては現在までに、2,000人近くの人が申請しましたが、そのうち認定されたのは54人となっています。これは、水俣病対策が遅れたために多くの人が、認定基準が厳しくなってから申請をしたことが原因で認定率が低くなっています。次に御所浦における水俣病被害の始まりです。御所浦においては、昭和25年には既に一部の猫の狂い死にが確認されています。その後、昭和32 年に猫やカラスなどの集団発狂が見られました。その後の昭和34 年には、御所浦の沖合で海面に太刀魚などの魚手づくりの映画館(写真は筆者撮影、以下同じ)削られた山肌(線は筆者がほどこした)University of NIIGATA PREFECTURE 30