平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 30/80

電子ブックを開く

このページは 平成24年度新潟県立大学 公開講座 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」れた石仏です。これは全部で50体あるのですが、すべてが不知火海を見つめるようにして置かれています。国が建てた石碑には患者さんたちにたいする謝罪の念....

平成24年度新潟県立大学公開講座「阿賀野川流域から世界へ」れた石仏です。これは全部で50体あるのですが、すべてが不知火海を見つめるようにして置かれています。国が建てた石碑には患者さんたちにたいする謝罪の念が込められているのにたいし、市民が作った石仏には不知火海にたいする汚染への謝罪の意味も込められている印象を受けました。この2 つのモニュメントも同じ公園内にあるもので(パワーポイントで示す)、左が飛龍、右が母なる星です。母なる星は地球の形をしています。水俣病が新潟やカナダ、北欧などでも見つかったことから、地球規模での環境意識を生み出すことの重要性を訴えていることがわかります。そしてこれがエコパーク内で一番大きいモニュメント、水俣メモリアルです。これはイタリア人のジュセッペ・バローネ氏が設計したもので、この無数にある銀の玉が患者さんたちの命のようでもあり、不知火海の漁火のようでもあり、水銀の滴が海に滴り落ちていく様子にも見えます。先ほどの2 つのモニュメントとこの水俣メモリアルは、すべて国がつくったものです。この3 つに共通するのは、水俣病がこの土地、水俣だけでの問題ではないというメッセージだと思います。このように、エコパークのなかには記憶を伝える試みとして市民の作った石仏や国が造ったモニュメントがあり、そこには市民と公的機関の見つめる先の違いが見受けられたように感じました。この違いはモニュメントだけではなく、他の面からもわかることがあります。ここは埋め立て地内にある水俣病資料館と水俣病情報センターです(パワーポイントで示す)。県と国の情報、そして記憶を伝承していくための場所としてつくられました。水俣病資料館には語り部制度というものがあり、前もって予約をすれば、患者および患者家族の方からお話を直接聞くこともできます。次の施設が環境省管轄の国立水俣病総合研究センター(以下、国水研)です。ここでは水俣病を社会科学や自然科学、臨床学や疫学など様々な分野で研究しており、記録を継承する場所となっています。わたしたちは社会科学室長の蜂谷先生に2 時間ほど講義をしてもらいました。ここでは、水俣病患者の診断に使われた毛髪の水銀値の測定もしてもらいました。国水研は主に記録を保存、継承するための施設でしたが、記憶を継承するための施設として水俣病歴史考証館があります。水俣病センター相思社という市民団体が中心となって管理運営を行っていますが、元は胎児性の水不知火海を見つめる魂石水俣メモリアル水俣病歴史考証館University of NIIGATA PREFECTURE 28