平成24年度新潟県立大学 公開講座

平成24年度新潟県立大学 公開講座 page 17/80

電子ブックを開く

このページは 平成24年度新潟県立大学 公開講座 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
第1回公開講座 バスツアー 阿賀野川流域を知るのですが、やはり阿賀野川産・流域産は、ほかならぬその流域では商品になっていないのです。なんとももったいないことですが、これはどうしていけばよいでしょうか?....

第1回公開講座 バスツアー 阿賀野川流域を知るのですが、やはり阿賀野川産・流域産は、ほかならぬその流域では商品になっていないのです。なんとももったいないことですが、これはどうしていけばよいでしょうか?水俣市の特産品デコポン(柑橘類の一種)は、水俣を名乗らずに「不知火」というブランドで売られています。地域のブランドとしては、別の名を名乗ることも一つの方法でしょう。では、阿賀(野)は使わずに、蒲原(郡名。下越のうち、村上を除く大部分。静岡県庵原郡の蒲原町は静岡市に編入されて消滅。)や会津(藩名)ですか? より大きくは交通で、磐城国と越後国をとって磐越という太平洋まで横断する名称も使われていますが、さて。●揚川ダム阿賀の里から上流の阿賀野川は、いよいよ山が急峻となり、その間を縫って走る蛇行がずっときつくなります。それにしたがって勾配も急になってきます。そこで現れるのがダムと発電所です。もっとも下流にあるダムは、咲花温泉の下流にある阿賀野川頭首工(農業用水路の取入口)ですが、おそらく「橋?」のようにしか見えなかったことでしょう。しかし受益面積は163平方キロもある新潟県一の頭首工です。なぜそうか、というと、阿賀野川が並外れた流量を持つからに他なりません。揚川ダムもそう。発電用ダムとしては日本最大の流量なのですが、堰のようにしか見えません。発電機のタービンを回すのは、高校の物理でいう仕事。だから質量と重力加速度に高さを掛けたもの。質量にあたる流量が小さい場合は高さ、つまり落差を大きくすれば同じ仕事ができますし、阿賀野川のように流量があれば落差は小さくてよい。機械的には高圧で高速運転するよりは、低圧で高トルクの運転をした方が安定している筈。揚川ダムの高さは19メートル。最大出力は5 万3,600kW。よく知られた黒部川第4 ダムは180メートル。しかし10倍の高さの構造物を作るのはどれだけ大変か、ということです。阿賀野川は川幅の狭さと流量の多さから、ダムを造るにはもってこいの川なのでしょう。阿賀野川からはるかに遡った最上流の只見川には田子倉や奥只見には高さが14 0メートルにもなる巨大ダムもあります。さて、この揚川ダムは東北電力、つまりこの周囲で使われる電力になるのですが、ここから上流にあるダムは地域に電力需要があって作られたものではなく、ダムの好適地だったから作られたもの。鹿瀬に立地した昭和「電」工も石灰岩と電力があったからだった訳ですが、一方、阿賀野川と並行している阿賀野川頭首工揚川ダム奥只見ダム(魚沼市)15 University of NIIGATA PREFECTURE